リテールメディアが注目される理由と課題:小売りの購買体験は豊かになるのか?
にわかに脚光を浴びるリテールメディア。リテールメディアの現状や市場規模、リテーラーとメーカーそれぞれの課題について、Epsilon Retail Media(旧CitrusAd)青木氏にお話をうかがった。Epsilon Retai Medialは、リテールメディアに特化したオンサイトとオフサイトをつなぐ広告配信システムを提供する企業である。
リテーラーが持つオンライン/オフラインの接点がメディア化
Epsilon Retail Mediaは、リテールメディアに特化したオンサイトとオフサイトをつなぐ広告配信システムを提供している。たとえば、イオンネクストが運営するネットスーパー「Green Beans(グリーンビーンズ)」で商品を検索すると、PRのタグがついた商品が表示される。これがECサイトの広告枠であり、リテーラーであるイオンネクスト社が持つ広告媒体となっている。
リテールメディアとは?
海外ではWalmart(ウォールマート)などが注目されているが、リテールメディアの定義は海外、国内ともに定まっていないのが実情だ。現状では、小売業者が提供する広告メディアが、リテールメディアと言えると青木氏。具体的には次のようなものだ。 ・小売業者のECサイトやアプリ上のオンライン広告 ・店舗に設置されたデジタルサイネージ広告 など 日本では、ファミリーマートやヤマダ電機で店舗のメディア化が進んでいる。デジタルサイネージを導入し、商品購入の後押しをする広告を流すなどが一般的だが、以前から使われているポップなどもメーカーが費用を出している場合は、リテールメディアといえる。 ┌────────── オンライン・オフライン含めて小売業者が、“広告主から販促費または広告宣伝費用をもらっている”ことが、リテールメディアの条件になります。一方、自社のECサイトに、自社の商品の広告を配信してもリテールメディアには、該当しません(青木氏) └──────────
国内外で急成長するリテールメディア。人々の生活様式が発展方式に影響する
リテールメディアの市場規模について、青木氏は次のように説明する。 ┌────────── グローバルでの市場規模は、2022年に1,800億円(Amazonと中国を除く)、2024年に4,000億円に達すると言われています。 国内に限れば、CARTA HOLDINGS(カルタホールディングス)が12月に発表したデータに基づくと、2024年が420億円、2027年には1,390億円に成長すると言われています(青木氏) └────────── リテールメディアの成長に、日本におけるEC化率も影響する。日本のEC化率は9.13%に留まるのに対し、グローバルでは23.3%まで伸長している。 日本のEC化率には、日本独自の生活環境も影響していると青木氏は言う。 ┌────────── 日本の場合、特に首都圏では徒歩圏内・近隣環境にスーパー、コンビニ、百貨店など多くの小売店があります。そういった便利な環境では、ECで購入する必要性を感じづらいのが実情です。 一方、北米では、近隣環境にスーパーがない、日本のように便利なコンビニもない、という場合も多く、コロナ禍もあいまって、ECで購入するケースが増えたことが考えられます(青木氏) └──────────