テキスト入力するだけで誰でも作曲できる時代がやってくる
便利だけど、クリエイティビティはどうなるの? クリエイティブソフト大手のAdobe(アドビ)が、楽器や編集の経験がなくても、誰でも音楽プロデューサーになれる新しいAIツールを開発中だそうです。
必要なのはテキスト入力のみ
今週発表された「Project Music GenAI Control」。このツールは、例えば「パワフルなロック」「ハッピーなダンス」「悲しいジャズ」などテキストのプロンプトを入力するだけで、音楽を作成・編集することが可能。 Adobeによると、ユーザーは生成された音楽の強度を編集したり、音楽クリップの長さを伸ばしたり、繰り返し可能なループを作成したりすることもできるそうです。 この最新ツールのターゲットは、ポッドキャスター、放送関係者、適切なムード、トーン、長さのオーディオが必要な人たちとのこと。 AdobeのシニアリサーチサイエンティストNicholas Bryan氏は、Adobeのブログで述べています。 「このツールでワクワクすることの1つは、単にオーディオを生成するだけでなく、Photoshopのように、作り手が自分でしっかりとオーディオをコントロールでき、さらに調整や編集もできることです。音楽のピクセルレベルコントロールという感じですね」
怖いくらい簡単
Adobeは、Project Music GenAI Controlがどんな風に機能するかを紹介する動画を、YouTubeにアップしています。動画で見てみると、このツールを使うと音楽を作成することが怖いくらい簡単になっています。 また、すごく早い動作で曲を作ってくれるようです。このツールで生成した音楽がグラミー賞を受賞する、なんてことはないかもしれませんが、YouTubeビデオ、TikTok、またはTwitchストリームのバックグラウンドミュージックなどを作るのには最適に感じますね。
クリエイティブの行方は?
素人がこんなに簡単に音楽を作れてしまうのは、やっぱりちょっと怖さもあります。AIは執筆や演技などの職業に大きな影響を与えつつあり、クリエイティブな職業人たちの生活手段が奪われていく風潮にあるからです。 このYouTubeへのコメント欄には 「ロボットが書いた音楽、ロボット向けの音楽を作成するツールを作ってくれてありがとうAdobe」 「Adobeの痛い試み」 「クリエイティブな仕事を奪うための方法をまた見つけてくれてありがとう! ところでどのアーティストの作品を盗んでAIをトレーニングしたの?」 といった、皮肉や辛辣なコメントも見られました。 米GizmodoがトレーニングについてAdobeに問い合わせたところ、Project Music GenAI ControlのAIモデルをトレーニングするために使用された音楽の詳細については、まだ技術の初期段階であるため開示しないとのことでした。 ただ、AdobeのAIイメージジェネレーターの「Firefly」に関しては、公開ライセンスで利用可能なものや著作権が切れたものでのみトレーニングしていると開示しています。 音楽は芸術であり、また本質的には人間そのものです。なので、新しいツールで簡単に音楽ができてしまうことは便利ではありますが、人間のクリエイティビティを壊すことにもなりますよね。この先、世界中が機械が作る音楽だけになっていくっていうシナリオも考えられるかもしれません。
岩田リョウコ