日本人観光客はインバウンド客よりマナーが悪かった? 「備品盗難」「泥酔」「部屋汚し」…国の補助金で客層が悪化?
深刻な人材不足に陥るホテル業界。「いくら募集かけても全然人が集まらない」
しかしこの点に関しては、かつて日本人も辿ってきた道であり、髙部氏は「次第に解決するのでは」とも指摘する。 「日本がバブル景気だったころ、日本人は海外でお金を使うけど、現地ではあんまりいい顔をされない、といったことがありました。“時代は繰り返す”じゃないですが、今は日本がそれを受ける立場になっているのかなと。 たとえば、当時は「JALパック」で海外ツアーに出かけたおじさんやおばさんが、“JAL”と書かれたバッグを抱えながら飛行機に乗り、機内ではおじさんがステテコ一丁になっていた、ということもありました。 今、マナーが悪いと指摘されている東南アジアの方々も、“旅慣れ”してくれば、やがて収まってくると思います。昔の日本然り、国民の所得が増えて海外旅行に行けるようになった国だと、やっぱりこうしたことが起きるのだろうなと」 また、昨今の宿泊業界といえば、特に都心部のビジネスホテルではインバウンド需要を背景としたホテル代の値上がりが深刻な問題となっている。これにより、ビジネスパーソンが出張経費をオーバーしてしまう、といったことも起きているようだ。 髙部氏は、このインバウンドと値上げのダブル効果によって「ホテル業界の業績は、おかげさまで東京はすごくいいです。立地によっては、従来の3倍の値段になっているホテルもあります」と語る一方で、この好調を掻き消すほどの大きな危機に瀕していると話す。 「今、ホテル業界は人手不足が深刻なんですよ。もう、いくら募集かけたって全然人が集まらないという状態です」 髙部氏によると、ホテル業界は値上げや業績好調を受け、賃上げという形で従業員に還元しているという。では、なぜ人手が足りないのか。実は「103万円の壁」とも呼ばれる扶養控除が大きなハードルになっているのだという。 「人がいないから働いてほしいと相談しても、『これ以上働くと扶養控除から外れちゃう』って言われてしまうんですよ。でも、ホテルは365日24時間営業がありますから……。 あと、コロナ禍のとき、お客様が全然いないからってリストラに踏み切ったという背景もあって。あとから『お客さんが戻ってきたから雇ってあげるよ』と言っても、『クビにしたとこなんか誰が行くか』という世界にもなっちゃっているんですよね。 清掃スタッフなんかは、ベトナム人やネパール人など、そういった海外の人材を頼りにしているところも多いです」 売上だけでなく、人材までをも外国人に頼っている、現在の日本のホテル業界。もはや、さまざまな側面から外国人なしにはやっていけない状態のようだ。 取材・文/集英社オンラインニュース班
集英社オンライン編集部ニュース班