イスラエルが「ハマスの提案」を拒否するのには理由がある
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が2月9日、ニッポン放送「小永井一歩のOK! Cozy up!」に出演。イスラエルのネタニヤフ首相が拒否したハマスからのガザでの戦闘休止案について解説した。
ガザ休戦、イスラエルのネタニヤフ首相がハマスの提案を拒否
パレスチナ自治区ガザ地区への軍事侵攻を続けるイスラエルのネタニヤフ首相は、ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが戦闘休止や人質解放に向けて提示した条件を「妄想」だとして拒否する考えを示した。 小永井)ネタニヤフ氏は会見で、「ハマスの妄想的な要求に屈しても人質の解放につながらないだけでなく、新たな虐殺を招くだけだ」と述べ、「絶対的な勝利」達成のためハマスとの戦闘を続けると明言しました。停戦への道のりは通そうです。 宮家)イスラエルからすれば、ハマスは2006年に事実上の権力をガザで握ってから、一貫して民間人を犠牲にし、人質を取ってでも「イスラエルを殲滅する」と言って戦っているわけです。
話し合いは続くが、イスラエルが簡単に提案を受け入れることはない
宮家)1000人以上の犠牲者を出した10月7日のハマスによる攻撃以降、イスラエルの多くの人は、パレスチナ人に犠牲が出ることはわかっていても、とにかく「元から絶たなきゃだめ」、ハマスを殲滅しなければならないと思っているのです。それが今も多数派だと思います。ハマスは「135日で人質を全部解放する」と言うけれど、人質を解放すれば戦闘は中止になる。つまりイスラエルから見れば、ハマスが勝つことになるのです。 小永井)ハマスが勝つ。 宮家)となると、イスラエルは絶対に受け入れないと思います。「2~3週間で解放する」という条件であれば話は別ですが、2~3週間で人質を全部返してしまったら、今度はハマスに切り札がなくなるため、絶対にハマスはそんなことはしません。全員解放した途端、イスラエルに徹底的にやられてしまうのは分かり切った話だから。人質がいるからまだこの程度で収まっているわけです。今双方ではこうした駆け引きが続いている。具体的な提案も出てきたので、話し合いは続くと思いますが、そう簡単にイスラエルは提案を受け入れないと思います。