衆院選・京都府内で「民主党」票が前回比1.5倍 立民と国民の合流願いあえて投じた人も?
昨年10月の衆院選の比例代表で、「民主党」と書かれた票が京都府内で約7万3千票に上り、4年前の前回選から1・5倍増えた。ともに略称に使った立憲民主党と国民民主党の支持が好調だったためとみられるが、両党はかつて政権交代を成し遂げ京都で一時代を築いた旧民主党の流れをくむだけに、あえて統一を願い「民主党」票を投じた有権者もいたようだ。 【グラフィック】民主党はこんなに変わった 京都府選挙管理委員会などによると、府内の「民主党」票は7万3857票で有効投票総数(107万3633票)の約7%を占めた。公選法の規定で両党の得票割合に応じ、65%が立民に、35%が国民に割り振られた。得票数の合計が立民は19万3727・027票、国民は10万3519・939票と切りが悪い数字になっているのはそのためだ。 両党ともに略称を「民主党」として届け出た理由は、それぞれ旧民主党が源流で現在の党名にも言葉が入る中、「(他党に票を)持っていかれる」(立民の野田佳彦代表)ためなどという。一方、実際は案分を避けるため、選挙中は支援者らに正式名称で書くよう呼び掛けていた。 今回「民主党」は票を伸ばした。2021年の前回選も両党が略称にしており、投票率は今回より高かったが、約4万8千票だった。 前回から比例票を約1・7倍増やした国民の躍進が影響したともみえるが、国民の隠塚功京都市議は「そうであればありがたいが、はっきり分からない。両党の変遷が分からず、とりあえず民主党と書いたという人もいる」と話す。立民の田中健志府議は「野党への期待ということは間違いないが有権者にとってはまぎらわしい。党本部同士が話し合い、今後は別々の略称を使うべき」と指摘する。 一方、あえて「民主党」と書いた人もいた。昨年2月の京都市長選の国民府連の対応を巡って国民を離党した無所属の梶原英樹府議は「少なくとも両党の地方議員は働く者の立場に立つという同じ思いを持っており、本来は一つであるべきだ。どちらかの党を選ぶことはできず案分を生かした」と明かす。 1998年に誕生した旧民主は、京都では「非自民非共産」を掲げ、自民党と共産党が争う「自共対決」構図に割って入り勢力を伸長。2009年衆院選では比例復活も含め全選挙区で議員が誕生するなど、大きな勢力を誇った。 政権転落後に党は分裂し、立役者となった国会・地方議員たちは現在、立民、国民、無所属と立場が分かれた。党の顔だった前原誠司衆院議員(京都2区)は、日本維新の会の共同代表へと身を転じた。支援政党の分裂に苦悩してきた連合京都の原敏之会長は「私もそうだが今も民主党に愛着がある有権者は多いだろう。合流は難しいと分かりつつ再び一つになってほしい」と願う。