【黒板アート】会津から魅力発信を(10月24日)
黒板にチョークで絵を描く「日学・黒板アート甲子園2024」で、会津若松市の会津高がエリア賞(北海道・東北)、会津学鳳高が日学特別賞に輝いた。会津勢2校の入賞は初めてとなる。若い感性には目を見張るものがある。アートを通じて、本県の歴史や文化が県内外に広く発信されることを期待する。 会津高は初出品で、初の受賞となった。キビタキや磐梯山など本県を代表するモチーフを描き、色彩の鮮やかさと精緻な描写が高い評価を受けた。会津学鳳高は、座敷が並ぶ廊下を獅子舞が駆け回るユーモラスな題材で、2019年に最高賞の最優秀賞を受賞して以来、6年連続の入賞を果たした。コンテストは美術の分野では珍しい団体戦で、仲間とともにテーマを練り上げ、試行錯誤を繰り返しながら時間をかけて作品を仕上げていく。生徒にとって貴重な体験であり、入賞の喜びもひとしおに違いない。 高校生の活躍を受け、会津若松市教委は昨年度から中学生を対象にした「あいづっこ 黒板アートコンテスト」を独自に開催している。中学生にも、身近で魅力的なアートに挑戦してほしいとの願いからだ。「会津の歴史や文化」をテーマに作品を募り、今年度は高校生を含め昨年度より5チーム多い40チームが参加した。赤べこや起き上がり小法師[こぼし]、鶴ケ城、ラーメンなどが描かれた会津ならではの魅力的な作品ばかりで、レベルの高まりを感じさせる。
特筆すべきは、黒板のようにチョークで書いたり消したりできる「黒板シート」を活用している点だ。移動が容易で、展示しやすい利点がある。市教委は表彰式後の約1週間、展覧会を開いているが、展示を希望する市内の飲食店や商業施設などに貸し出し、飾ってもらってはどうか。多くの人の目に触れることで、会津から黒板アートの魅力を発信できるはずだ。 会津若松商工会議所卸物流部会は昨年、観光PR事業の一環として、会津学鳳高美術部の黒板アート作品を大型トラックのラッピングに採用した。会津絵ろうそくや磐梯山、日新館など会津の魅力が詰まったデザインは、まさに「走る広告塔」と言える。こうした取り組みを増やし、若い力を取り入れた地域づくりを進めたい。(紺野正人)