【所得格差】親の所得格差は子どもにどう影響する?親の所得差が子どもにどんな「差」を生むのか
【所得格差】子育てで親の所得差が影響する分野は多岐にわたる
私立中学への進学は義務教育期間ということもあり、都市部では過熱しているとはいえ、全国レベルで考えると受験をする子どもは限定されます。親の所得差がはっきり出てしまうのも仕方がないことです。 しかし、幼児期から親の所得による子どもの経験の差は少しずつ広がっていきます。少子化ということもあり、子ども向けの習い事教室を展開する企業では乳幼児を対象にしたクラスも開講してます。 子どもの才能を見つけることや色々と経験して得意なことを伸ばすためにそうした教室に入会を決める親もいる一方で、経済的な理由で習い事に通わせられない家庭もあるため就学前に音楽、運動そして語学と子どもの経験の差はある程度広がっています。 そして所得差は学力だけでなく体力面、運動能力の面でも影響があることが指摘されています。 岐阜県多治見市の公立幼稚園、保育園、公立小学校と公立中学校の園児と児童生徒そして保護者を対象とした調査「子どもの体力・スポーツ格差に関する基礎的実証研究」では親の所得の差と子どもの体力・運動能力の差がはっきりと関連していることが分かりました。 体力・運動能力の平均値を0とした場合、世帯年収400万円未満の子と世帯年収900万円以上の家庭の子を比較すると以下のような違いがあります。 ●年収400万円未満 ・幼児 0.14 ・小学生低学年 -0.93 ・小学生中学年 -0.62 ・小学生高学年 -0.20 ・中学生 -0.5109 ●年収900万円以上 ・幼児 0.70 ・小学生低学年 0.74 ・小学生中学年 1.46 ・小学生高学年 0.25 ・中学生 1.0438 すでに幼児期から差が出ており、400万円未満の家庭の子は小学生以降は平均を下回る結果になっています。
【所得格差】親から子へと学歴が受け継がれやすい時代
筆者が高校に入った時、一番驚いたのが同級生の両親のほぼ全員が「高卒ではない」ということでした。アムラー世代かつ地方ということを考えると、親が高卒ということは決して珍しいことではありませんでした。 しかし、地方であっても進学校に行く子は「父親は大卒で母親が短大卒」という組み合わせを筆頭に、高卒以上の学歴の親を持つ子ばかりで、衝撃を受けたのを昨日のように覚えています。 親の学歴は子どもに受け継がれると言われていますが、1990年代の時点からそうした兆候が見られたと考えられます。そして、高校の同級生は筆者から見るとどの子も経済的に余裕のある子ばかりでした。 所得の高低が子どもの学力だけでなく体力や運動にも影響を及ぼすのは、幼児期からの体験機会の差を考えると不思議なことではありません。ただ、こうした所得の差は子どもの進学にも当然ながら影響します。 昔のように高学歴がすなわち社会的成功を意味する時代ではありませんが、大学や専門的な知識や技術を身につけて高収入になることは遠回しに子どもが大きくなり、親となった時に経済的な理由で色々なことを諦めさせるのを防ぐことにもなります。 親の所得が高いことが子どもの成長にプラスになることは明らかです。 「親の所得が子どもの人生を左右しかねない」ということを踏まえると、幼児期から比較的安価な自治体の運動イベントや自然体験活動に参加して経験や体力を鍛えて所得差の影響を最小限に留めることを意識することも大切です。