【日下部保雄の悠悠閑閑】フリードで新潟へ
フリードはガソリン車には試乗したが、e:HEVはまだ乗っていなかった。そこでe:HEVを乗っておこう、そしてどうせなら長距離を……とプランは膨らみ、今年行けていなかった新潟の長岡に墓参りすることにした。日帰りプランは家族に却下され、湯沢に1泊で承認された。1泊ならと今回も家内が同行することになり道中退屈しない、かな。 【この記事に関する別の画像を見る】 それでもかなりのロングドライブ。往復600kmはありそうだ。果たしてコンパクトミニバンの強行軍に耐えれるか、自分が……。 e:HEVはe-POWERのようなシリーズハイブリッドに近く、EV走行を主体としながらエンジンも駆動にひと役かうパラレル走行も行なうというホンダ独自の2モーターハイブリッド。 走行直後はEV走行。バッテリがミニマムになったり、加速が必要になったりすると1.5リッター4気筒エンジンが始動して発電するが振動や音が小さい。加速時に面白いのはシフトアップする変速感があることだ。擬似的な演出だがちょっとうれしい。 エンジンの存在を強く感じるのは長い登坂路。連続してエンジンが高回転になると音が大きく会話も遠慮がちになる。関越道路は坂が多いのだ。 足まわりは締まってコンパクトらしい節度感がある。先代で感じたサスペンション系の遊びの動きに無駄がなく、思うようにラインをトレースし、ステアリング応答性もそれに応じて素直だ。乗り心地もハンドリングもバランスがよい。 視界のよさもなかなか気持ちがいい。大きなフロントウィンドウと低いウエストラインでキャビンが明るい。そして左右の死角も少ないために安心感が高い。とにかく運転しやすい。 乗り心地ではシートもよくできている。以前はシートフレームが身体に合わなかったがシート全体で身体を支えて格段に疲れは少なくなった。 家人は助手席から後席に移動しても足下が広いためゆったりと座り、大きな窓から外の景色を眺めている。珍しく居眠りしないと思ったら寝ていました。 3列目は狭いが、爪先を2列目シートの下に入れることで大人が座れるスペースを作り出す。2列目を少し前に出す必要はあるがパッケージングはホンダらしい。 ACCとレーンキープはバランスよく機能する。ただ、前車を捉えるのはタイムラグがあるのが気になる。 フリードは突出したところはないが性能の隙間をきっちり埋めたソツのない仕上がりだ。 おかげで湯沢の温泉で身体を伸ばせたし、ご先祖さまの計らいか雨が一瞬やんだ中、墓参りもできた有意義なロングドライブでした。
Car Watch,日下部保雄