<頂点へ―’22センバツ九国大付>第1部/上 打撃 つながる得点力が鍵 /福岡
雪が舞うグラウンドで、シートバッティングに臨む選手たちの金属バットの音が響く。その傍らで、九国大付の監督・コーチ陣が打撃フォームを細かく指導する。緻密な練習の先に見据えるのは、先輩を超える「優勝」の2文字だけだ。 九国大付は昨秋、13―1で圧勝した福岡第一との決勝をはじめ、7試合で73得点と圧倒的な打力で県大会を制した。「試合間隔が空く大会日程で、打順を入れ替え、一つの線になっていった」と楠城徹監督は振り返る。 2回戦、3回戦は4、5点止まりだったが、4回戦で鞍手に20―0(五回コールド)、5回戦で東筑に13―3(七回コールド)と結果が出始め県大会を制すると、九州大会もその勢いは続く。昨年のセンバツ準優勝の明豊に13―0で五回コールド勝ちを収めるなど4試合で50安打、43得点の打力を発揮し、秋の九州大会を初めて制した。 「佐倉が楽しそうに野球をやっていると他の選手も良くなる。それがこのチームの強み」。楠城監督がキーマンに挙げるのが、明治神宮大会で強豪・大阪桐蔭のエースから本塁打を放つなど秋の公式戦14試合で5本塁打、25打点と飛躍を見せた4番・佐倉俠史朗(きょうしろう)(1年)だ。控えや下位打線を務めた夏以降、重心をより低く、左膝の開きを抑えた打撃フォームに変えて結果が出始め、県大会では北九州市民球場で場外弾も放った。「夏は先輩を支える、という意識だったが、今はチームを引っ張っていけるように意識している」と話す。 佐倉の成長で、夏は2年ながら4番を打った出塁率が高い黒田義信(2年)が1番に座り、先制点を挙げる確率が高まったことも大きい。「1番打者の方がやりやすい。自分がチームの顔となるつもり」と闘志を燃やす。 楠城監督の評は「ビッグイニングが多いチーム」。九州大会では代打を含む3人から満塁本塁打が生まれるなど、「点」から「線」につながる打撃を発揮できるかが、全国制覇の鍵を握る。 ◇ ◇ 11年ぶり3回目のセンバツ出場を決めた九国大付。甲子園で頂点を目指すチームの戦力、選手の意気込みを紹介する。【浅野翔太郎】 〔福岡都市圏版〕