【毎日書評】思考のスピードをあげてスマートな話し方を見つけるために「不安を解消するヒント」
「緊張」ではなく「興奮」と捉える
行動の邪魔をするネガティブな感情と向き合う効果的な方法としては、マインドフルネスの実践が挙げられるそうです。不安感を否定したり無視したりせずに認め、不安を感じている自分を責めないようにするべきだということ。そうした感情を受け止めたうえで、それに全人格が支配されるわけではないといい聞かせるわけです。 試してみよう 不安などのネガティブな感情を抱いた時、自分自身と感情は別物であることを思い出してください。他人の視点から、その感情を持つあなたを観察するイメージです。(33ページより) 感情は、そのまま受け止めることが大切。緊張するのは当たり前なので、「このシチュエーションならたいていの人は同じように感じるはずだ」と認識するべきだということです。負の感情を自然なこととして受け止めれば、それに飲み込まれずにすむはず。 そして精神に少し余裕が生まれ、深呼吸をしたり、与えられた質問への答えに考えを巡らしたりできるようになるわけです。感情を意識できれば、それに足を引っぱられることがなくなり、むしろ感情を味方につけられるようになることでしょう。 話す際に不安を感じる人はしばしば、なにがなんでも平常心を保たなければならないと考えがち。しかし、それでは思考が鈍り、注意散漫になる可能性もあるため、むしろ有害だといいます。 もっと良い方法として、私が親しくしているアリソン・ウッド・ブルックス准教授が説く通り、不安を興奮と捉え直すことをおすすめします。 彼女の行った実験では、人前で話す前に「楽しみで興奮している」と声に出して自分に言い聞かせるとパフォーマンスが向上することが明らかになりました。実際に「楽しみ」という思いが強まり、人前で話す機会を脅威ではなくチャンスと見なせるようにもなりました。(34ページより) つまり身体への影響という意味では、不安も興奮も大して変わらないということ。どちらの感情を抱いても「きわめて強い警戒状態」に陥るわけです。そこでマインドフルネスの実践と同様に、不安を興奮と捉えなおす。そうすれば、自分が主導権を握れるようになるのです。 なぜなら、不安への生理的な反応自体は変えられないものの、「それをどう受け止め、どう認識するか」はコントロールできるから。自分でなんとかできるという感覚をつかめるようになると、話すという経験のあり方が変わり、ひいてはコミュニケーションの上達につながっていくということです。(32ページより) 続いてPART2では、なりゆきで発言を求められるシチュエーションの代表的な例も取り上げられています。そのため本書を活用すれば、いままでとは違う円滑なコミュニケーションを実現できるかもしれません。 >>Kindle Unlimitedの3カ月無料キャンペーン【7/17まで】 「毎日書評」をもっと読む>> 「毎日書評」をVoicyで聞く>> Source: 翔泳社
印南敦史