各地恒例フェス、2024年の動向を探る

　2024年1月28日。岩手県沿岸南部で行われていた『KESEN ROCK FESTIVAL』が、5年ぶりに開催されると告知があった。第一弾アーティストとして、『KESEN ROCK FES』の顔とも言える、the band apartの出演が決定している。 【写真】アーティストによる主催フェスも盛り上がり 　岩手県が久しぶりのフェス開催に沸き立つ一方、岐阜県中津川の恒例フェス『中津川 THE SOLAR BUDOKAN』は、開催中止の決定が下された。 　新型コロナウイルス感染症が5類に移行してから、各地でオフラインのライブやフェスが戻りつつあった2023年。コロナ禍以前に日本各地で行われていた恒例フェスは、2024年はどんな選択をしているのだろうか？『KESEN ROCK FESTIVAL』、『THE SOLAR BUDOKAN』を始め、例年とは異なる選択や取り組みをした音楽フェスを紹介していく。 ■2024年の開催中止を決定したフェス 　2024年に入ってまだ1カ月と少しだが、すでに今年の開催中止を決定した恒例フェスがある。先に言及した、『THE SOLAR BUDOKAN』だ。 　『THE SOLAR BUDOKAN』は、使用するすべての電力を再生可能エネルギーで賄う、新しい形のフェスだ。2012年の初開催以降、コロナ禍もオンラインに切り替え毎年欠かさず開催してきた。しかし、「財政的には火の車だった」こと。また、「毎年の開催で実行委員会スタッフの疲労が蓄積」していたことから、2024年の開催を見送った。 「1年休ませてください。来年新しいTHE SOLAR BUDOKANやります」 　公式HPには、上記のような力強い言葉が綴られている（※1）。2025年には力を蓄え、よりパワーアップした『THE SOLAR BUDOKAN』が見られるのを期待したい。 ■久しぶりの開催が決定したフェス 　コロナ禍などを理由に長らく開催を見送っていたものの、2024年ついに沈黙を破ったフェスもある。 　まず紹介するのは、音楽を愛する「地元に住む普通の会社員」たちが立ち上げた手作りロックフェス、『KESEN ROCK FESTIVAL』。2009年からスタートし、岩手県気仙郡で10年以上にわたって開催され続けてきた地方フェスだ。 　このフェスも、コロナ禍の影響で開催を見送ってきた。2023年には久しぶりの開催を試みていたものの、この数年で「組織事情にも多様な変化」があったという理由から、泣く泣く開催を断念していた。 　そして2024年1月。「『次なるステージ』に挑むKRFにご期待ください！」という言葉とともに、5年ぶりの開催が告知された（※2）。この5年間、『KESEN ROCK FESTIVAL』の実行委員会は、開催できない悔しさ、そして復活に向けた諦めない思いを、毎年のように綴り続けてきた。その思いが、2024年ようやく叶う。