“大打撃を受けた”ブライダル業界で大きな明暗が。“既視感のある披露宴”は時代遅れに
ゲストの数は減少するもののカップルの負担は重く…
営業利益率の変化には原価率が大きく関係しているのですが、その説明の前にコロナ後のブライダル業界を取り巻く環境を見てみましょう。 大きく変化したのが招待客の人数です。「ゼクシィ結婚トレンド調査2023」によると、2023年の平均招待客人数は49.8人。2020年は62.8人でした。若干の回復傾向にはあるものの、人数はコロナ前の8割の水準にも届いていません。 ブライダル業界において、婚礼単価を引き上げるキーファクターになっていたのがゲストの数。人数の減少は婚礼単価を引き下げることになります。2023年の結婚式の費用の平均額は356.3万円。2020年は382.6万円でした。30万円近く下がっています。 ここで注意したいのが減少率。人数は20%近く減少しましたが、婚礼単価の平均額は6.9%の減少に留まっているのです。ゲスト1人当たりの単価に換算すると、2023年は1人当たり7.2万円かかっているのに対し、2020年は6.1万円しかかかっていませんでした。つまり、婚礼単価は下がっているものの、カップルのゲスト1人当たりに対する負担額は増えているのです。
カップルの要望に寄り添う提案を行うチャンス
同調査では、結婚式の見積もりよりも実際の金額が上がった理由を調査しています。それによると、「衣裳を追加またはランクアップしたから」が68.9%でトップ。次いで「料理を追加またはランクアップしたから」が68.4%と続きます(複数回答)。 リクルートは経済産業省に「ブライダル産業の構造転換に向けた調査・分析」という報告書を提出しています。その中で結婚式の多様化が進んだとし、定番型披露宴が下火になってカップルの要望にカスタマイズしたパーティーが増加すると予想しました。 コロナは本当に価値があると感じるものへの消費傾向を高めました。飲み会文化が消失したのは典型例です。結婚式にもその傾向が出始めているのです。 呼ぶ必要のないゲスト、テンプレ化した幼少期からのビデオ映像、イミテーションのウエディングケーキなど、カップルが必要ないと感じればすっぱりと切り詰めます。その一方で、ドレスや料理などこだわる部分にはお金をかけます。商品力や提案力を高めることで、単価増を狙える余地が生まれたのです。しかし、従来型の提案は通用しなくなりました。