激変するゲーム業界 任天堂、SIE、マイクロソフト…大手3社の「異なる戦略」とは
日本では押され気味だが、世界で他社と渡り合うマイクロソフト
注目されるメーカーやタイトル、そしてユーザーの寄せる関心など、時代と共に目まぐるしく変化するゲーム業界。特に家庭用向けゲームでは、この業界を牽引するプラットフォーマーの入れ替わりや、スマートフォンという新たなライバルの登場など、昔もいまも絶えず激動の変化を見せています。 【画像】えっ、絶対欲しい! これが「今後各プラットフォームを盛り上げる注目ゲーム」です(5枚) 現在は、Xbox Seriesを展開する「マイクロソフト」、PlayStation 5の普及を進める「ソニー・インタラクティブエンタテインメント」(以下、SIE)、発売から8年目を迎えるもなお好調なNintendo Switchを擁する「任天堂」の3社が、それぞれシェアの拡大を目指し、切磋琢磨している状況です。 SIEが属するソニーグループは、2023年度第3四半期業績説明会にて大幅な増収増益を報告。その飛躍は結果にも表れており、ソニーグループが電気機器における利益トップ企業へと躍り出ました。また、PS5の販売台数も伸びを見せ、累計販売台数は5000万台を突破しています。 しかし一方で、SIEは社員全体の8%に当たる約900人の人員削減を今年2月末に発表しており、景気のいい話ばかりではありません。 レイオフや再編の波は、SIEに限らず世界中のメーカーでも行われており、消費者のゲームライフにも少なからず影響を与えることでしょう。そのため、特にマイクロソフト、SIE、任天堂の動向は気になるばかりです。 それぞれが家庭用ゲーム機を販売し、またゲームソフトのリリースにも力を入れていますが、その傾向やスタイルは三者三様で、それぞれ異なる強みや特徴を持っています。今後のゲーム業界を見据えるべく、3社のゲーム業界での戦略や在り方を振り返っておきましょう。 ●有力なメーカーを見逃さないマイクロソフト カジュアル層も含めた国内のゲームファンの間では、マイクロソフトの印象が最も薄いことでしょう。ハイパワー路線のXbox Seriesを支持するユーザーが一定層いるものの、日本での活躍はライバル機と比べると一歩およんでいません。 ですがマイクロソフトを知らなくとも、『マインクラフト』の名を聞いたことのないゲームファンはほとんどいないでしょう。「世界で最も多く売れたゲーム」としても名を馳せたほど、記録的な販売本数を叩き出した名作です。 『マインクラフト』を生み出したのは「Mojang Studios」というメーカーですが、世界的な大ヒットがきっかけとなり、最終的にマイクロソフトの子会社になりました。その後も躍進を続け、いまや「マイクロソフトの顔」としても認知されるほどの存在感を放っています。 こうした動きはマイクロソフトにとって珍しいものではなく、有力なメーカーに助力したり、買収して子会社化する動きが活発です。SIEや任天堂も子会社化を行いますが、マイクロソフトは特に力を入れており、その買収戦略はたびたび話題となります。 直近では、『コール オブ デューティ』シリーズなど世界的なヒット作を生み出してきた「アクティビジョン・ブリザード」の買収が記憶に新しいことでしょう。また、2024年のヒット作として早くも名を挙げた『パルワールド』をリリースしたポケットペアと協力し、Xbox版のサポート体制強化をいち早く発表しました。力のあるメーカーに向けるマイクロソフトの関心と注力は、並みならぬものがあります。 また、マイクロソフトのゲーム戦略として外せないのが、「Xbox Game Pass」です。これはゲームを対象としたサブスクリプションサービスで、カタログ内にあるゲームに限りますが、月額料金を支払えば好きなだけ遊ぶことができるというものです。 ゲームのサブスク自体は珍しくないものの、「Xbox Game Pass」では発売されたばかりの新作が対象に含まれることもあります。もちろん、対象となるのはごく一部のタイトルに限られますが、前述の『パルワールド』や、名作をリメイクした『ペルソナ3 リロード』、桐生一馬の視点で新たな物語を描いた『龍がごとく7外伝 名を消した男』などの話題作が、「Xbox Game Pass」で発売初日から楽しめました。 さらにマイクロソフトは、「Xbox Game Pass」のWindows PC向けサービス「PC Game Pass」も実施しており、ゲーム体験の提供を家庭用機だけに絞ってはいません。ハードの垣根を超え、総合的にゲーム事業を展開する姿勢も、マイクロソフトらしい一面です。 このほかにもメタバースやAIにも力を入れており、ゲーム業界に向けて今後どんな提案を見せてくれるのか期待が高まります。