入社後に「試用期間中は給料なし」と聞かされました。これって普通ですか…?
正社員として採用されたあとに、試用期間中は給料が出ないという事実に驚いている人もいるかもしれません。結論から言うと、これは普通ではなく、法的に問題があります。今回は、この問題を掘り下げて、試用期間を設ける目的や試用期間中の給料、労働者の権利、対処法などについて解説します。ぜひ参考にしてください。
試用期間とは? 試用期間中の給料について
試用期間は、新しく採用した従業員の能力や業務への適性を判断するために設ける期間です。実際の業務を通して能力や社風への適合などを把握し、適材適所となる配置を検討し、最終的に本採用の可否を判断するために、試用期間を設けている企業がほとんどです。 試用期間は会社によりさまざまで、1ヶ月から6ヶ月、多くは3ヶ月とするところが多いでしょう。もちろん、会社だけでなく従業員本人も、自分がこの業務や社風に適しているのかを検討する期間でもあります。このように、試用期間は会社と従業員がお互いに適正を確認する重要な制度です。 しかし、試用期間中とはいえ、労働力を提供する従業員なのですから、そこに対価が発生するのが当然です。ただし、試用期間中は、本採用後の給料よりも若干低く設定されているケースも多くあります。これは、就業規則や労働条件通知書などで明示されていれば、違法性はありません。ところが、まったくの無給は違法です。少なくとも会社は、最低賃金額以上の給料を支払わなければなりません。
法的な問題点とは?
労働基準法第十五条をみると「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」といったことが明記されています。また、職業安定法でも、試用期間といえども、試用期間中の労働条件を明示しなければならないことが決まっています。 しかも、試用期間と本採用後の労働条件が異なる場合は、それぞれに労働条件を明示しなければなりません。つまり、従業員に労働条件を明示して内容を認識した上で、双方で労働契約を締結しなければならないのです。 さらに、厚生労働省によると、職業安定法施行規則の改正に伴い、令和6年4月より募集時等に明示すべき事項が追加されるなど、労働者と会社とのトラブルを防ぎ、適切な情報を提供するための内容が強化されます。このことからも分かるように、求人情報に都合の悪い部分を伏せた内容で募集していることも、違法である可能性が高いです。