社員から企業への「復讐」リベンジ退職が2025年に急増する可能性
燃え尽き、離職率、包摂性、シニアリーダーの質といった重要課題について、CEOは社員と比べてはるかに楽観的だ
■雇用主は「リベンジ退職」にどう対応すべきか DDIのリーダーシップ・インサイト担当シニアバイスプレジデント、マット・パエーゼ博士によれば、社員たちが不満を募らせている事態の根本的原因に対処するためには、企業幹部は楽観的であることをやめる必要がある。 社員の不満は企業幹部に起因すると同氏は指摘する。そして、根本的原因に対処するには、CEOが意識を大きく改める必要があるという。企業幹部は、自らに厳しい質問を投げかけなくてはならない。例えば、次のようなものだ。 ・自身の行為や発言を通じて、中間管理職を軽視してきたのではないか? ・個々のリーダーシップ能力を本当に評価し、伸ばしてきたか? 単純に業績のいい社員を昇進させただけではないか? ・ワークライフバランスを設計して、燃え尽きの予防に努めてきたか? DDIの「グローバル・リーダーシップ予測」によれば、社員とCEOの間には重大な認識のズレがある。燃え尽き、離職率、包摂性、シニアリーダーの質といった重要課題について、CEOは社員と比べてはるかに楽観的なのだ。 パエーゼ博士によれば、いくつかのリーダーシップ行動の「危険信号」について、CEOは批判的に内省しなければならない。これらは、社員の閉塞感や鬱屈を悪化させかねないからだ。 1. リーダーシップに関して本当に素質のある社員を差し置いて、業績がよく貢献度の高い社員を昇進させる。現実には、組織で最も優れたリーダーは、リーダーシップ職に就くことを考えていないことが多い。企業幹部は、リーダーシップ研修システムを構築し、リーダーシップに関する隠れた素質を開花させるべきであって、単純に好業績の見返りに昇進させるだけではだめなのだ。最も目に見える成果を上げた社員を優遇して昇進させる企業は、キャリアアップの過程における多様性の喪失や、技術的スキルへの過度の重視といったリスクを抱える。こうした要因は長期的に、リーダーシップの質を劣化させ、隠れた才能を離職によって失うことにつながる。 2. 中間管理職の軽視。マーク・ザッカーバーグといった著名なCEOが、「上司の削減(unbossing)」トレンドを導入したことで、多くの企業幹部が中間管理職を削減し、組織のフラット化を推進するようになった。問題は、中間管理職が企業戦略を実行に移し、CEOと現場社員の認識のギャップを埋めるという重要な役割を担っていることだ。不可欠な存在でありながら、存在価値を疑われ、燃え尽き、正当に評価されないと感じている中間管理職は、リベンジ退職の高いリスクを抱えている。