多汗症治療「ミラドライ」の照射時間や回数、治療の流れを医師が解説
ミラドライの治療の流れ
編集部: ミラドライは一度で効果が得られるのですか? 鴫原先生: 多くの方が一度の照射で満足のいく結果を得ています。また、照射レベルにもよりますが、効果が長期間持続するという点も、ミラドライの特徴です。ただし、さらなる治療を希望される場合には、半年あけて再治療を受けることもできます。 編集部: 一度の治療で効果が得られるのはいいですね。 鴫原先生: 実際、当院で治療を受けた患者さんのうち、約9割が1回で治療を終了しています。ただし、ミラドライで熱破壊された汗腺は長い時間をかけてゆっくり再生されていきます。もしまた症状が気になるようになったら、再度治療を受けていただくこともできます。 編集部: 治療時間はどれくらいですか? 鴫原先生: 治療時間は両脇あわせて通常60分くらいです。治療前に麻酔をしたり、後処置をしたりする時間も含めると、トータルで90分程度になります。 編集部: 治療で痛みなどはありますか? 鴫原先生: ミラドライを行うときには治療による痛みを抑えるため、注射による局所麻酔を行います。そのため、治療中はほとんど痛みを感じることがありません。 ただし、治療後2~3日は腫れや痛みがあります。その場合にはアイスパックなどで脇の下を冷やしたり、痛み止めを使用したりします。 編集部: やはり痛みや腫れがあるのですね。 鴫原先生: はい。ミラドライはしっかりと皮膚の汗腺組織を焼き、熱破壊する治療法です。そのため手術と同様、腫れや痛みも出ます。 大きな腫れは術後1週間、小さな腫れは術後2~3週間くらい続くかもしれませんが、時間の経過とともに薄れていくのでご安心ください。治療後に通院する必要もほとんどの場合、ありません。
ミラドライの特徴は? どんな人に向いている?
編集部: ミラドライが向いている人は、どんな人ですか? 鴫原先生: 多汗症で悩んでいるすべての人に向いていると思いますが、特に、手術による切開を必要としないので、傷跡を残したくない方に向いていると思います。また一度の治療で効果を長く持続したい方にもお勧めです。 編集部: 仕事や日常生活にはすぐに復帰できるのですか? 鴫原 康先生鴫原先生 デスクワークなどであれば翌日から仕事に復帰できます。従来の手術であれば1週間くらい安静にする必要があったので、この点が、ミラドライのメリットと言えるでしょう。 編集部: 治療の安全性が気になります。 鴫原先生: 2018年6月に厚生労働省より、「マイクロ波による腋窩多汗症治療機器」として正式に承認を受けています。また米国食品医薬品局(FDA)にも安全性や効果が認められているので、安心して受けていただければと思います。 ただし、厚生労働省より承認を受けているのは脇の治療においてのみです。その点には、ご注意ください。 編集部: 治療を受けられない人はいますか? 鴫原先生: 基本的にどなたでも受けていただけますが、10歳以下の人や重篤な基礎疾患がある人は治療が難しいとされています。 編集部: 医療保険が適用になるのですか? 鴫原先生: いいえ、自由診療になります。治療費についてはしっかり確認するようにしてください。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 鴫原先生: ミラドライが開発され、日本へ導入されてから12年になります。現在では治療実績も上がっており、多汗症で悩んでいる方に第一選択肢として検討いただいても良い治療だと実感しています。 同じく多汗症の治療でボトックス注射もありますが、それに比べ、ミラドライは治療効果が長く続くのがメリット。ぜひ、多汗症でお悩みの方はミラドライを行っている医療機関へご相談いただければと思います。