台風1号発生が遅い理由 エルニーニョ現象最盛期の後の特徴 でも過去には甚大な災害
2016年は7月に台風1号 それでも年間発生数は平年を上回り甚大な災害
2016年は、エルニーニョ現象が最盛期を迎えた翌年です。この年の台風1号の発生は、7月になってからでした。 この年は、台風1号の発生が遅くても、台風シーズンである7月、8月、9月に、いずれも平年を上回る数の台風が発生し、年間を通しての発生数は26個と、平年の25.1個を上回りました。 そればかりか、この年、8月中旬から下旬にかけて、北海道地方、東北地方、関東地方に台風が相次いで上陸し、大きな災害をもたらしました。8月の上陸数は4個で、ひと月の上陸数としては、統計開始以来、1954年9月、1962年8月と並んで最多タイになりました(台風の統計開始は1951年)。 この年の台風7号、11号、9号は、北海道に上陸。北海道地方に年間に2個、再上陸を含めて3個の台風が上陸したのは、ともに統計開始以来、初めのことでした。 台風10号は、岩手県に上陸。東北地方の太平洋側への上陸は統計開始以来、初めてのことでした。 これらの台風及び前線などによる大雨で、岩手県で15名の死者がでるなど、人的被害が生じたほか、住家被害、ライフライン、公共施設、農地などへの被害及び交通への影響が発生しました。
日本気象協会 本社 白石 圭子