外国人船客に白タク疑い 静岡県警、ベトナム人ら逮捕 清水港で横行か
清水港に停泊した大型クルーズ船の乗客を対象に無許可でタクシー営業(白タク行為)をしたとして、清水署と県警交通指導課の合同捜査指揮室は28日、道路運送法違反(有償運送の禁止)の疑いで、パキスタンとベトナム国籍の男をそれぞれ現行犯逮捕した。最近の外国人観光客の増加を背景に、清水港で外国人ドライバーによる同様の行為に関する相談が相次ぎ、県警が本格的に捜査していた。合同捜査指揮室は白タク行為が複数のグループなどによって組織的に横行していた可能性があるとみて捜査を継続し、実態を解明する。 逮捕されたのは、パキスタン国籍で自称静岡市葵区羽鳥5丁目の職業不詳の男(28)とベトナム国籍、愛知県弥富市鯏浦町、派遣社員の男(31)。 職業不詳の男(28)は同日、国交省の許可を得ずに、静岡市清水区の清水港日の出埠頭(ふとう)で自家用のミニバンに米国人観光客6人を乗せ、富士山周辺など山梨県内の観光地を経由して帰着するまでの間、運賃を得る契約の下、運行した疑い。派遣社員の男(31)も同日、中型のマイクロバスに米国人約10人を乗せ、ほぼ同様の行程などで「白バス」行為をした疑い。 いずれも乗船客らから事前に依頼を受け、入港時間帯に合わせて待機所周辺に自家用車などで現れる手口だったとみられる。乗船客は1日だけの滞在がほとんどのため、ドライバーは同じ言語を話す客を主な対象にして常習的に白タクを続けていた可能性がある。合同捜査指揮室は具体的な申し込みや支払い方法も慎重に調べる。 日の出埠頭には連日、外国人を乗せた大型客船が停泊。出港までの時間、観光を希望する客を正規のタクシーや観光バスが乗せて運送しているが、「無許可でタクシー営業している車両がある」といった通報を複数受け、県警が内偵を進めてきた。警察庁からも本年度、白タク行為の取り締まり強化の指示が出ていた。 白タクの通報、相談などは新型コロナウイルスの収束以降、全国的に増加傾向にあるが、摘発事例の舞台は国際空港が多く、港での着手は珍しいとされる。
静岡新聞社