婚活や商談、展示会… 「メタバース」静岡県が活用拡大 若者への普及課題
静岡県が1月から運用を開始した仮想空間「メタバース・シズオカ」が婚活や企業マッチング、常設展示会などに活用範囲を広げている。利用は11月末で5万1千件を超え、本年度の目標5万件を既に達成するなど、同じプラットフォームの自治体の仮想空間でトップ級を誇る。ただ、本来の目的である若者の利用は限定的なため、さらなる普及を目指し、活用法を模索している。 県は若者の県政への関心向上を目的に、自治体では珍しい24時間常設のメタバース空間を運用する。11月からは、従来の広報ルーム(空間)、広聴ルームに加え、新たなイベント空間を拡充した。新設の空間は県内4地域を意識し、東部が朝霧高原、伊豆が韮山反射炉や露天風呂、中部が三保の松原、西部が浜名湖をイメージしたデザインにし、少人数で会話できる個別ブースを設けて商談なども可能にした。 11月に交通基盤部が建設業界を対象にした「新技術交流会」でメタバース会場を併設し、過去最大の約9千件が利用した。県と市町の結婚支援サービス「しずおかマリッジ(しずマリ)」の交流イベントも開催。男性11人、女性4人の出席者がアバター(分身)を動かして4地域の空間を行き来して空間やゲーム、会話を楽しんだ。アンケートでは参加者の6割が「満足」とし、県担当者は「対面に抵抗感のある人に向いている」と手応えを示す。 展示会場も新設し、時間を問わず世界中からアクセスできるメタバース空間の利点を生かして写真コンクールの入賞作品などを無期限で公開する。過去の県民だよりも順次掲載するなど、展示物を充実させる。 若年層の利用拡大に向けては、今後、県ホームページ内で人気の「キッズページ」のクイズコーナーの開設や、県に興味を持つ大学生らの取り込みを検討する。
静岡新聞社