電気代高騰で老舗スケートリンク閉館 五輪3回出場・伊藤亜由子さん「私の”原点”…寂しい」 静岡
スピードスケート元日本代表・伊藤亜由子さん: 私がスケートを始めたきっかけになったリンクなので、私の原点、私の返ってくる場所というイメージです。やっぱ寂しいですね、まだ信じられない感じです
製氷機に「ありがとう」
そして、5月31日には最後の営業の日を迎えた。この日は、これまでこのリンクで活動を続けてきたフィギアスケートやアイスホッケーのクラブの貸し切りだ。 子供たちは「最後にみんなで楽しい思い出が作れた」と喜んだ。 フィギアスケートコーチの竹下誠司さんは「今までも選手の出会いと別れは何回か経験してきたが、今までの見送りとは違う形で、いつも以上に寂しい気持ちになる。これでまた会えない期間が長くなる選手もいるので」と肩を落とす。
思い出のリンクとの最後の時間はあっという間に過ぎ、58年間使用してきた製氷機も止められた。製氷機は毎年スケートシーズンが終わる夏に止めてはいるものの、この日は特別だ。 浜松スポーツセンター・中村和樹さんは「同じ止める作業でも重さが違う。これでもう製氷機が動くことはない。ほんとうにありがとうございました」と、特別な思いでスイッチを切った。 照明も落とされ、58年間続いたスケートリンクの営業は終了した。
新リンク設置めざし署名活動
練習場所を失ったフィギアスケートやアイスホッケーのクラブチームは、隣の愛知県などに拠点を移さなければならない。このため静岡県内での新しいリンク設置を目指し、署名活動を始めた。 署名に応じた人たちは「息子も小さな頃からフットサルを続けて選手になったので、ちゃんと練習場があれば立派な選手になれると思う」「スケートリンクがなくなるのはかわいそうなので」と協力的だ。
ある女の子は「いろいろな人が私たちの気持ちをわかってくれてすごくうれしい」と喜び、浜松パイレーツホッケークラブ・名倉みほさんは「静岡県にスケート場ができて、新しいスケート場で子供たちがたくさんスケートを滑れるようになるといいな」と期待する。
集まった署名は7月に浜松市に提出し、リンク設置を働き掛けていく。 58年間にわたり、静岡県内のスケート文化を支えてきた浜スポリンク。 その楽しい思い出は、新しいスケート文化をはぐくむ糧となっていくはずだ。
テレビ静岡