東京のサーフスケートシーンを牽引してきた『ザ・サーフ』。
東京都内の駅名を「あ」から五十音順に選出し、その駅の気になる店やスポットなどをぶらりと周っていく連載企画「東京五十音散策」。「か」は蒲田へ。
サーフィンもスケートボードもオリンピック種目に選ばれるほどの盛り上がり! 気になる専門店も次々に生まれているけど、それらの店があるのは老舗のローカルショップが礎を築いてきたからということを僕たちは知っておかなければいけない。 東京五十音散策 蒲田②
蒲田(ほぼ蓮沼エリア)に佇む『ザ・サーフ』は’71年創業。ここは日本人初のプロスケートボーダー・アキ秋山さんを輩出し、トム・カレンや真木蔵人さんといったサーフィン界の凄腕もライダーとして名を連ねた東京屈指のレジェンダリーなサーフショップだ。
御年76歳になる店のオーナー・紀藤雅彦さんは日米の懸け橋として早くからカリフォルニアに移住。本場から〈アルメリック〉や〈オニール〉など、数々のトップサーフブランドを日本に持ち込んだだけでなく、〈リーバイス〉のフレアシルエット、コーデュロイパンツなどサーフスケーターに向けたアメリカ古着もいち早く提案しブームを創った。〈ヴァンズ〉のシューズや〈キャンバス・バイ・ケイティン〉のボードショーツを輸入したのもこの店で、間違いなく、ここは当時の東京ファッションシーンを引っ張ってきた店でもあった。
現在は‘86年から『ザ・サーフ』を見てきた店長・塚本さんが店頭に立っていて、紀藤さんとのリレーションシップも良好。国内外のサーフボードに、アキさんの弟であるカツ・秋山さんがセレクトするスケートボードなど、オールドスクールなものがメインに揃い踏む。ヴィンテージコレクターでもある紀藤さんが所有するレアな古着やボードがたまに放出されたり、〈東洋エンタープライズ〉が長年わざわざ特別に製作しているオリジナルウェアがあったりするのも面白いところ。目利きとワクワクは50年以上経っていても健在。
そもそも博物館さながらの店内。サーフィンやスケートカルチャーのツアーのつもりで足を運び、お土産にローカルブランドのTシャツを一枚手にするもよし。この夏サーフィンにチャレンジしてみたい人は、老舗をチョイスし、文化を学びながらアクティブに励むのも選択肢のひとつに加えてほしい。
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