朝ドラ『虎に翼』岩田剛典、35歳の学生服姿は違和感ある?意外な判断ポイントとは
宙を泳ぐ岩田剛典
第4週第18回。男女混合、本科メンバー全員でハイキングに出かける。いいなぁ、こういう戦前のハイキングの朗らかな雰囲気。が、楽しいのは昼食まで。レディファースト精神でうまく取り繕っていた花岡に寅子がついに噛みつく。 「男と同様に勉学に励む君たちを、僕たちは最大限敬い、尊重している。特別だと認めてるだろ」と花岡が語気を強める。寅子は、この「特別」にカチン。男性至上主義的な花岡の傲慢さを正すべく、食い下がる。 食い下がりながら、勢い込んだ寅子は花岡を時折こずく。花岡の後ろは崖。危ないっ(!)。2回目に大きくこずいたあと、花岡は足元を取られて、落下。でもこの落下がどうもおかしい。 「あぁぁ~」と叫ぶ花岡が、なかなか落下していかないのだ。うしろに引っ張られながら宙を舞い続けているように見える。なんだろこの画面。でも宙を泳ぐかのような岩田剛典を見てちゃんと思うことがあるのだ。
学生服を着ても違和感がない理由
なかなか落下していかないあの画面について、岩田本人は「マトリックス落ち」と形容するが、あれって完全にヒッチコック落ちじゃないかと。 アルフレッド・ヒッチコックの『サイコ』(1960年)でも失踪事件を調査する探偵が、画面上を漂い、泳ぐような動きで階段から落下していた。 それから、第19回で包帯ぐるぐる巻きで横になる花岡の姿は、『裏窓』(1954年)のジェームズ・スチュワートさながら。 なるほど、考えてみると、常に安定し、無駄のない演技をする岩田剛典って、昔の俳優の演技っぽいのだ。特にスチュワートなどが活躍した1940~50年代のハリウッド映画。花岡役で35歳の岩田が学生服を着ても何ら違和感がないのは、古典的ハリウッド映画の演技に由来する古風な佇まいのせいかもしれない。
スン状態が演技を安定させる
もっというと古典的ハリウッド俳優の演技とは、余計なことをしない演技を最大の特徴としている。劇的な場面だからって、変にエモーショナルになったり、大袈裟に表情を作ったりもしない。 起伏がすくない、フラットな演技ともいえる。それこそ『虎に翼』の登場人物たちがときに無の感情を表現する「スン」に近いかもしれない。本作の岩田は常にこのスン状態を保つことで、花岡役の演技を安定させている。 そうした古典的演技についての理解を踏まえた上で、4月6日から放送が開始された『岩田剛典 サステナ*デイズ supported by 日本製紙クレシア』(TOKYO FM・毎週土曜あさ8時)に傾聴してみるとどうだろう? 初回放送では、「Something For Tomorrow」と題して岩田セレクトの映画作品が紹介されていた。朝の番組には過激かもしれないと前置きしつつ岩田が紹介したのが、マーティン・スコセッシの『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』(2013年)。