廃油由来のバイオPETボトル、サントリーが販売へ
サントリーグループは、飲料用ペットボトルの一部を使用済み食用油由来の原料「バイオパラキシレン」によるものに順次切り替え販売する。バイオパラキシレン製PETボトルの商品への使用は世界初となる。 ペットボトルの原料となるPET樹脂は、7割がテレフタル酸、3割がモノエチレングリコールという、いずれも原油から精製される化学物質から作られるのが普通だ。サントリーは2013年より、モノエチレングリコールの原料を食料にならない廃糖蜜由来の材料に切り替えたペットボトルの「サントリー天然水」への導入を始めているが、今回は構成割合が大きいテレフタル酸のほうをバイオ材料に切り替えることに成功した。 これを実現するために、サントリーはいくつもの化学系企業との連携による廃食用油のサプライチェーンを構築した。まず、廃食用油からサステナブルな航空燃料「SAF」を製造するNESTEは、その副産物であるバイオナフサを三井化学に供給。三井化学はそれを使ってバイオパラキシレンになる中間材料を製造。それをENEOSがバイオパラキシレンに変換して、Indorama Venturesがそこからテレフタル酸を製造し、モノエチレングリコールと反応させてPET樹脂を作る。岩谷産業がPET樹脂製造から納品までの運用マネージメントを行い、サントリーはそれを使ってペットボトルを作る。この一連のサプライチェーンのマネージメントを三菱商事が行うといった具合だ。 サントリーは2030年までにすべてのPETボトルをリサイクル素材または植物由来素材100パーセントに切り替え、化石由来原料の新規使用をゼロにする目標を立てている。現在、世界の航空会社はSAFの調達にしのぎを削っている。燃料メーカーはSAFの増産に注力しているが、バイオPETボトルの原料も今後はどんどん増えることになる。サステナブルなPETボトルが当たり前となる日は近いだろう。
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