【バレー】廃部危機の大分三好ヴァイセアドラーに元代表の備一真や山田滉太らがあの人気ユーチューバーヒカルに涙の訴え「チームを存続させて」
バレーボールV2リーグ男子の大分三好ヴァイセアドラー。新リーグ移行に向けてのリーグ期間中に部長の三好博氏が急逝。17日に行われたJVLによるSVライセンス審査結果発表の記者会見で「停止条件付き」と発表があった。期限は今月末日。チーム譲渡などの道も探られたが、現状ではチームの存続が厳しいとの見方が関係者から出された。 当該チームは三好氏が医院長をつとめる三好内科循環器科医院が母体で、開業と同時に創部された。三好循環器科EKG、三好循環器科EKG大分、大分三好ヴァイセアドラーへと名称も変遷。V.LEAGUE DIVISION1MENでもプレーした。出身には北京五輪出場の津曲勝利や、旭化成から転部してきた南克幸も所属した。本来なら創部30周年の記念すべき年になるはずだった。 このまま手をつかねているよりはと、大分出身で名物選手的存在であった島﨑征士郎さんや過去に在籍した山田滉太、昨年代表にも選出された備一真らが声を上げた。きっかけは現在も当チームに所属する武藤茂選手のポストからだった。 「自分たちはもうチームを離れた外部の身。だから武藤くんのポストを見なければ何もできないままだった」と語る島﨑さん。 大分三好は三好部長の熱意で続けられたといってもいいバレー部。9人制でスタートし、2005/06シーズンの第8回V1リーグで初優勝しVリーグに昇格を果たした。このシーズンはなかなか初白星があげられず、ようやく勝利した会見で当時の小川主将が号泣。「街を歩くたびに申し訳ない気持ちだった」とトップリーグで戦う厳しさを味わった。 それ以降も上位に食い込むことはなかなかできなかったが九州唯一の男子Vリーグチームとして地域に親しまれてきた。島﨑さんも小学生の頃から大分三好の試合を見てVリーガーを目指した。九州は鎮西、東福岡といったバレー王国だがトップリーグで戦うチームが住友金属ギラソール以来絶えており、大分三好が昇格することでホーム&アウェイ方式を推し進めるリーグの中で九州での試合を維持してきた面もある。 島﨑さんはあと2日に賭けて奇跡を起こそうと、人気ユーチューバーのヒカルさんに向けてポストを発信した。なぜヒカルさんになのかと問うと「ヒカルさんは大分で展開されているファミレスの『ジョイフル』のアンバサダーだったこともありますし、大分にはご縁がありますから。コスメやアパレルも手掛けていらっしゃるので、女性ファンの多い男子バレーとも親和性が高いかなと。もちろん可能性が低いことなんてわかってます。でも『馬鹿じゃないのか』とかそういうことでバズってもいいので、とにかく話題になってヒカルさんに届いてくれたら。他の企業さんにも届いてくれたら。そんな気持ちでやっています」。 生前に三好氏から「僕がもし死んでしまったら、『大分三好』という名前のチームの存続は難しいかもしれない。でも、名前が変わったとしてもチームは続いていってほしい。できれば九州でね」という言葉を過去に在籍し、今は海外でプレーする松尾選手は聞いていた。それを今回島﨑さんたちに伝えてくれた。 島﨑さんの声に応えるように在籍していた選手たちからも引用リポストが続いた。 昨年代表に選出されたリベロの備一真も「V1でやるチャンスをくれたチームでもあるし、今の僕があるのも間違いなく大分三好ヴァイセアドラーのおかげなので感謝してるし、そのチームが存続の危機にあるのは悲しいです。どうか続いてほしい」。内定選手として入団からずっと活躍し、現在はイエロースターズでプレーする山田滉太選手も「お世話になったから、続いてくれたら。奇跡が起こりますように」と力を込めた。 期限は30日。後2日でミラクルは起こせるか?
中西美雁