『勇者アベル伝説』「打ち切りエンド」しか観ていないファン 第2部で描かれた結末とは
第2部の最終回は?
本作は『ドラクエ』ならではの要素として「レベル」にもフィーチャーしており、第5話を「Level5」というように話数をレベルで表記し、さらに各話の最後にはレベルアップのファンファーレとともに、アベルたちのレベルやステータスが表示される演出が入るのがお約束でした。 打ち切り直前となる第31話ではアベルはレベル33で、第32話は「Level32」と表記されていました。筆者は本作の放送当時にファミコンの『ドラクエIII』をクリアしていました。ゲームではこのくらいレベルが高ければバラモスを倒して生還できるので「そこまでレベルが上がっていれば(犠牲を出さずに)勝てるだろおお!」と、悲しみともツッコミともいえぬ感想を抱いたものです。 ちなみに全11話で構成される第2部はモコモコ、デイジィ、ヤナックらアベルの仲間たちは誰ひとり欠けることなく最後まで戦い抜き、前述の老婆が語った物語とは異なる結末を迎えました。 実はデイジィの生き別れの弟だった新キャラクターの剣士「アドニス」(本名はトビー)や、最後までティアラを守った心優しいモンスター「ドドンガ」など魔王軍との激戦で尊い犠牲は出てしまったものの、おおむねハッピーエンドであったといえます。 また、最終的に無事だったとはいえ、アベルはバラモスとの戦いで共倒れ寸前というところまで追い込まれており、「仲間たちがやられたうえ、この時にアベルも生還できず相討ちに終わった世界線が第1部の最終回だったのだろうか……」とも解釈できそうな展開だったのは、なかなか趣き深いです。 今日では、第1部32話と第2部1話の内容がミックスされた編集版が新たな32話となっており、当時は全43話だったアニメが今は全42話となっています。2008年発売の「ドラゴンクエスト 勇者アベル伝説 コンプリートDVD-BOX」には、映像特典として放送当時の32話(打ち切り版)と第2部第1話も収録されていますが、現在では超レアアイテムです。もし持っている方がいたら、大切にして下さい。 『勇者アベル伝説』は、「全国ネットの放送で打ち切り最終回→各地のローカル放送で最終回の結末だけをなかったことにして第2部を放送」という紆余曲折をたどったものの、最後は無事にハッピーエンドを迎えました。 なお、本作はdアニメストア、FODプレミアム、U-NEXTなどで全42話が配信中です。「え、第2部なんてあったんだ!?」という方は、ぜひチェックしてみて下さい。
蚩尤