「出費だけが増えている」…物価高騰の恩恵受けぬ地方経済、選挙の度に言葉躍る「地方活性化」はどこに
■ ■ ■ 「人手不足に加えての物価高。経済状況は良くなっていない」。南大隅町佐多地区で畜産施設の設備業を営む男性(48)は、物価高で農家の収益が悪化したことにより、上半期の仕事は昨年の約半分に減った。資材も値上がりしたが、これまでの付き合いもあり、なかなか価格転嫁できないでいる。赤字分は自らが残業するなどして穴埋めしている。 同地区の人口は9月末時点で1495人。10年前から約1000人減った。雇用維持のため少しずつ賃上げしているが、物価上昇分を上回るまではできてない。「国には地方でも希望を持って働けるように支援してほしい」と期待する。 物価高が大きな影を落とす地方の働き手と暮らしをいかに守るか。鹿児島国際大学の松本俊哉准教授(52)=産業経済学=は「これまでも言われているが、人や金が東京に吸い寄せられる経済構造の転換が必要」と訴える。選挙の度に聞かれる「地方活性化」だが、地方では実感に乏しいのが現状だ。
南日本新聞 | 鹿児島