「光る君へ」大石静氏“二枚目”柄本佑の色気絶賛!道長は闇落ち?「心根はブレていない」悪人イメージ一新
◇「光る君へ」脚本・大石静氏インタビュー(4) 女優の吉高由里子(36)が主演を務め、紫式部/まひろ役に挑んできたNHK大河ドラマ「光る君へ」(日曜後8・00)の放送も残り2回。俳優の柄本佑(37)が従来の“悪人イメージ”と一線を画す藤原道長像を体現した。脚本の大石静氏(73)に柄本の魅力と作劇の舞台裏を聞いた。 【画像あり】倫子の目が怖すぎ…。私が気づいていないとでも…倫子ついに直接尋問?次回予告にネット騒然「刀伊の入寇より怖い」 <※以下、ネタバレ有> 「ふたりっ子」「セカンドバージン」「大恋愛~僕を忘れる君と」などの名作を生み続ける大石氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ63作目。千年の時を超えるベストセラー「源氏物語」を紡いだ女流作家・紫式部の波乱の生涯を描く。大石氏は2006年「功名が辻」以来2回目の大河脚本。吉高は08年「篤姫」以来2回目の大河出演、初主演となった。 大石氏と吉高のタッグは20年1月期の日本テレビ「知らなくていいコト」、23年1月期のテレビ朝日「星降る夜に」に続く3作目。「知らなくていいコト」には柄本も出演。主人公の週刊誌記者・ケイト(吉高)の元カレ・尾高役を好演し、イケメンぶりが話題になった。 柄本の凄さについて、大石氏は「廊下の歩き方さえも色っぽくないですか?でも、色気も必要に応じて出しているのだと思います。色気の必要ない役なら引っ込めているし。そういう霊能者的才能がありますね。恐ろしいくらい凄いです」と絶賛。柄本だけでなく、18年10月期のTBS金曜ドラマ「大恋愛~僕を忘れる君と」で俳優のムロツヨシも二枚目に変身させたが「どういう台本の技かと聞かれても、分かりませんけど。(報道陣の“心の奥底にある二枚目要素を引き出されるのが巧い”に)そうかもしれませんね」と笑った。 道長は幼き後一条天皇(橋本偉成)の外祖父となり、名実ともに国家の頂点に(第44回、11月17日)。その過程は幼き一条天皇の外祖父となった父・藤原兼家(段田安則)に重なり、SNS上で「闇落ち道長」「ブラック道長」などと反響を呼んだ。 ただ、兼家が一族の繁栄のために手段を選ばなかったのに対し、道長はまひろとの約束を果たすために権力を握ろうとした。 「道長様は偉い人になって、直秀(毎熊克哉)のような理不尽な殺され方をする人が出ないような、よりよき政をする使命があるのよ」(第10回、3月17日) 「遠くの国には行かず、都にいて政の頂を目指す。まひろの望む世を目指す」(第11回、3月20日) 大石氏も「道長の心根に最後まであるのは、まひろとの約束を果たすこと。それに尽きます。そこはブレていないのです。“黒い道長”を期待されている視聴者の皆さんには申し訳ないですけど、私としては黒くしたつもりは全くありません」と強調。 敦成(あつひら)親王の立太子について相談がないことに激怒した藤原彰子(見上愛)を「政を行うは私であり、中宮様ではございませぬ」と引き留めたシーン(第40回、10月20日)も「道長の気持ちとしては、娘の変わりようにビックリで、呆然としていたのだと思います。柄本さんの芝居も戸惑いの方が強く、闇落ちしたようには演じていなかったと思いますけどね」と振り返った。 “道長は尊大な人物”のイメージがつく要因となった栄華の象徴「望月の歌」も、人生の虚しさや自身の孤立を感じながら「今日だけはいい夜だと思いたい」と詠んだ“新解釈”(第44回、11月17日)。文献や最新研究などを基に、旧来の道長像を覆した。 「ただ、年齢を重ねた物の言い方とか、摂政になった頼通(渡邊圭祐)に厳しく当たるところとか、ちょっとずつ怖くシビアに見える演技プランを柄本さんが立てていると感じます。恋愛パートは一貫して道長の“まひろラブ”を描いてきましたけど、まひろへの眼差しは倫子(黒木華)や明子(瀧内公美)に向けるものとは全く違っていて、柄本さんが工夫されていると思います。まひろに向ける眼差しに、皆さんも毎度シビれておられるんじゃないですか?もともと才能のある柄本さんですけど、今回はさらに多彩な技を披露している感じがします」 まひろから別れを告げられ、出家した道長を待つ運命は果たして。 =インタビュー(5)に続く=