AI時代の「女神」は、あの「スカーレット・ヨハンソン」かもしれない…?その「意外すぎる理由」
Appleの「炎上CM」に込められたメッセージ
5月に入ってシリコンバレーでは、対外的なコミュニケーションでの失策が続いた。 2024年5月7日、Appleは、新型のタブレットiPad Proを発表したが、そのコマーシャルで大非難を浴びた。これまでずっと文化創造の支援者と思われてきたAppleが一転して文化の破壊者だと罵られるほどの大失態だった。 【写真】スカーレット・ヨハンソンの「艶めくドレス姿」 Appleがそのような袋小路に陥った翌週の5月13日、今度はOpenAIがGPT-4o(オムニ)での応答に利用される「声」を発表したが、この「Voice Mode」が問題となった。映画『her 世界でひとつの彼女』で使われた声にそっくりだったからだ。結局、AppleもOpenAIもともに問題となった策を取り下げざるを得なかった。 ここでこの二つの出来事に注目したのは、どちらも「近未来のAI時代」に向けて、シリコンバレーがずいぶん「前のめり」になっていることの現れと思えたからだ。AIというテクノロジーの登場によって、競争のステージが変わりつつあることを示唆する出来事であり、今という時代の兆候でもある。AIはそれくらい戦況を変えるゲームチェンジャーとして流通し始めている。 順に見ていこう。 Appleが新型iPad Proを発表する際に使ったのは「Crush!」というCMだった。名前の通り、楽器やAV機器、ゲーム機、さらには絵の具と、今まで人類が利用してきた「創造や表現のための道具」たちを軒並み「クラッシュ(破壊)」するものだった。 それも巨大なプレス機によって少しずつ圧力をかけながら粉砕していく、ショッキングなものだ。楽器の中には、ギターやトランペットだけでなくピアノのような大きなものまで含まれていた。それらが一様にプレスされながら破壊された挙げ句、最後にそのプレス機を引き上げたところに現れたのが新型のタブレットだった、というオチだ。 メッセージは明確だ。これまで人類の進歩を支えてきた文明の利器である各種ツール、加えてそうした利器に纏わる文化的な記憶のすべてが、新しいiPad Proに圧縮されて収められており、したがってこのタブレットさえ用いれば、あらゆる文化を創造し享受することができる、というものだ。 コンバージャンスの権化であり、マルチメディアの真の実現である。デジタル技術が一般化する1990年代から語られてきた夢をついにAppleは実現した。いやAppleだからこそ実現できた、というメッセージだ。