ユナイテッドヘルスケアCEO射殺、犯人なお逃走中 新たな顔写真公開
Rich McKay [ニューヨーク 5日 ロイター] - 米ニューヨーク市警は5日、中心部マンハッタンで米医療保険・医療サービス大手ユナイテッドヘルス・グループの保険部門ユナイテッドヘルスケアのブライアン・トンプソン最高経営責任者(CEO、50)を射殺した容疑者の新たな顔写真を公開した。 トンプソン氏は4日早朝、マンハッタンのミッドタウンでの年次投資家会議へ向かう途中、ホテル前で背後から撃たれた。 警察関係者は米ABCテレビと米大衆紙ニューヨーク・ポストに対し、現場から回収した薬きょうに「否定」「防衛」「退陣」という文字が刻まれていたと語った。ニューヨーク市警の広報担当者はこの報道についてのコメントを避けた。 これらの言葉は、2010年に出版された保険業界を批判する書籍の題名「遅延 否定 防衛:保険会社が申請に支払わない理由と対処できる方法」を想起させる。著者であるラトガース大ロースクールのジェイ・ファインマン名誉教授はロイターの取材に対し「申し訳ないが、ノーコメントだ」と電子メールで回答した。 警察はスキーマスクで顔の一部が見えない容疑者の顔写真を4日公表したのに続き、顔がはっきりと写っている写真を5日に公開した。米CNNテレビによると、警察は容疑者が宿泊していたとみられるマンハッタンのアッパーウエストサイドのホステルを捜索した。 警察は容疑者の動機を明らかにしていないが、捜査当局によるとトンプソン氏は意図的に狙われたとみられている。 監視カメラは、トンプソン氏の背後にいたフード付きのトレーナーとスキーマスクを着用し、グレー色のリュックサックを背負った容疑者が拳銃を構え、CEOの背中に向けて発砲する様子を捉えていた。警察によると、トンプソン氏が現れる数分前にホテルの外に到着し、トンプソン氏が通り過ぎるのを待ってから発砲した。 警察によると、容疑者は現場から逃走後、電動バイクに乗ってセントラルパークに入った。 警察は周辺に設置された監視カメラが撮影していた容疑者の画像を多く公開し、拳銃をトンプソン氏に向けているものや、電動バイクに乗って逃走する容疑者の姿も含まれている。 トンプソン氏は04年に入社し、21年4月からユナイテッドヘルスケアのCEOを務めていた。 ユナイテッドヘルス・グループのアンドリュー・ウィッティCEOは4日に従業員向けの動画でトンプソン氏の死去を発表し「本当に並外れた人だった」とたたえた。広報担当者はロイターに対し、中西部ミネソタ州ミネトンカの本社で半旗を掲げたと明らかにした。 トンプソンの妻、ポーレットさんは4日に米NBCテレビに対し、トンプソン氏が仕事に関する脅迫を受けていたものの、詳細は知らないと語った。 トンプソン氏が住んでいたミネソタ州メープルグローブの警察は、射殺から12時間超がたった4日夕に同氏の自宅を狙った爆破予告について調べた。ミネアポリス警察の爆弾処理班の協力を得て2軒の住宅を捜索したが、不審物は発見されなかったという。警察は、脅迫はデマだったとの見方を示している。 今回の射殺事件を受け、医療保険会社の一部は経営陣の警護態勢を再検討している。