19年間破られなかった女子マラソン日本記録がついに更新!記録保持者のアテネ五輪金メダリスト・野口みずき「中継車に乗って解説しながら見届けたその瞬間」
■マラソン解説の朝は元選手仲間とジョギング ── 解説の仕事にはどんな準備をして取り組んでいますか? 野口さん:私は事前に綿密な取材はあまりせず、目の前の選手のフォームや表情を見て解説するタイプ。選手の立場になって気持ちを考えたり、自分の経験からの言葉をお伝えするようにしています。ただ、マラソン大会となると数日前に記者会見があるので、早めに現地入りして選手や監督から話を聞くようにはしています。 回を重ねるごとに勉強になりますし、解説を始めた頃よりはしゃべれるようになったと思いますけど、毎回反省することも多いです。特に最初の頃はボキャブラリーが少なかったので、解説は下手だったと思います。解説以外にも各地のマラソン大会のゲストランナーに呼んでいただいたり、講演会など人前で話す機会も増えたので、話す力は少しずつ上がってきたのではないかと自分では思っています。
── 大阪国際女子マラソンは解説陣の豪華さも話題になりました。野口さんのほか、有森裕子さん、高橋尚子さん、千葉真子さん、渋井陽子さん、福士加代子さんと、「女子マラソン界のレジェンド」が集合して朝ランされたそうですが、皆さん、やはり朝走る習慣があるのですか? 野口さん:そうですね。みんな、ジョギング習慣はあると思います。私も一人だったとしても走ります。大阪の時は誰かが「朝走らない?」と言い出して、個人同士で連絡を取り合ったり現場で会った時にお誘いして…という感じで増えていきました。
── おしゃべりしながらのジョギングという感じですか? 野口さん:そうです。そのくらいのペースで。陸上の話もすれば、関係ない話もしますし。大阪では80分くらいみんなで朝ランしました。高橋尚子さんが学生時代を大阪で過ごされていて土地勘があるので、「じゃあ、ここから淀川まで行くよ!」とコースを決めてくれて。でも、先頭は何度も入れ替わって、フォーメーションを変えながら走りました。すれ違った人たちはびっくりしていました(笑)。
PROFILE 野口みずきさん のぐち・みずき。アテネ五輪(2004年)女子マラソン競技・金メダリスト。陸上競技は中学生時代からはじめ、社会人となってからは「ハーフマラソンの女王」として活躍。2002年にフルマラソンデビューとなる名古屋国際女子マラソンで初優勝し、2003年大阪国際女子マラソンで優勝。アテネ五輪を経て2005年ベルリンマラソンで当時の日本記録とアジア記録を更新した。2016年に現役引退後、結婚。現在は岩谷産業陸上部アドバイザー務めながら、マラソン大会の解説やゲストランナーとして各地を回っている。 取材・文/富田夏子 画像提供/野口みずき
富田夏子