【EV用バッテリー世界シェア】中国・韓国で90%超。日本メーカーではパナソニックのみがランクイン。2023年上半期
EV用バッテリーメーカーの成長
完成車メーカーの好調な販売状況が、EV用バッテリーメーカーの成長を促進している。 「CATL」と「LG Energy Solutions」の成長に決定的な役割を果たしたのは、「Tesla」のModel 3とModel Yである。 具体的には、「CATL」は、「Tesla」の上海工場で生産するModel 3とModel Yの標準バージョンにバッテリーを供給している。また、「LG Energy Solutions」は、ハイグレードバッテリーメーカーとして、Model 3とModel Yの高性能バージョンに電池を供給している。 その他も、以下のように、EV用バッテリーメーカーと完成車メーカーは結びついている。 ・「SK Innovation」:「Hyundai(韓国)」、「Kia(韓国)」、「Ford(米国)」 ・「Samsung SDI」:「Rivian(米国)」、「BMW」 ・「パナソニック」:「Tesla」
EV用バッテリー市場の今後の見通し
カウンターポイント社シニアアナリストSoumen Mandal氏は、EV用バッテリー市場の今後の見通しについて以下のように述べている。 「2023年上半期にEVが搭載したバッテリー容量の平均は50kWhだった。小型車、コンパクト車、ミニのEVが増えており、特に中国でそれが顕著だ。 そのため、バッテリー容量の平均は、増えたとしても2030年で65kWhから70kWhになるだろう。それでも、この数字によれば2030年にEVが産み出す電池の需要は4TWhに達することになる」 Soumen Mandal氏は、以下のように述べてレポートを締め括っている。 「バッテリーの需要が増し、地政学的な緊張と相まって、EV用バッテリーの主要原料であるリチウムの価格に上昇圧力が強まっている。 このため、バッテリーメーカー各社は、ナトリウムイオンなど代替化学物質を探している。それによってバッテリーコストを抑え、EVを買いやすくするためである。 「CATL」は既にナトリウムイオン電池でブレークスルーを達成しており、間もなく量産規模で採用される見通しである。ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池と比較してエネルギー密度が低いため、高性能EV車種には向かない。 そのため、ナトリウムイオン電池は電動バイクや電動三輪車、それに小型乗用車で主に採用されるだろう。「Chery(中国)」が新型スマートEVブランド「iCar」に、2024年の早期にCATL製のナトリウムイオン電池を搭載するとみられる。 その一方で、全固体電池は未だ研究開発段階で、実用化にはまだしばらくかかりそうである。 安価な全固体電池の実現は今後の大きな課題である」
参考資料
・Counterpoint Technology Market Research 「Global EV Battery Tracker, Q2 2023」 ・Counterpoint Technology Market Research
石川 貴康