「じっちゃんの名にかけて」の誕生秘話 「金田一少年の事件簿」原作者・樹林伸氏が回想
「金田一少年の事件簿」、「サイコメトラーEIJI」で知られる漫画原作者、小説家の樹林伸氏が10日放送のFMラジオ「GRAND MARQUEE」(J-WAVE)に出演。「金田一少年の―」の決めぜりふ「じっちゃんの名にかけて」の誕生秘話を語った。 【写真】ラジオで秘話を語った樹林伸氏 PodcastスタジオJ-WAVE ARRTSIDE CASTと連動したコーナー「HARAJUKU CAST」で、今推したいマンガを紹介する「推しに願いを -Wish Upon A Star」に出演した樹林氏。ナビゲーターの川内啓史と近視のサエ子とのトークに臨み、「金田一少年の事件簿」(天樹征丸名義)に関する話題では、決めゼリフ「じっちゃんの名にかけて」誕生のいきさつを語った。 樹林氏は「企画段階から、決め台詞を入れようと思ってたんです。最初、『謎は全て解けた』って言うつもりだった。『犯人はこの中にいる』とか。犯人はこの中にいるんだろうと読者は思いながら読むわけです。でも言った方がいいよね、漫画では言わそうと思って」と、「謎は全て解けた」「犯人はこの中にいる」が候補に挙がったという。そして「本当に絶対これって思ってたのはやっぱり『謎は全て解けた』だったんです」と明かした。 しかし「そのうち、でもこれじっちゃん、伝説の名探偵と言われたじっちゃんを出さない手はないよねって。最初に出した時は、『名探偵と言われたじっちゃん、金田一耕助の名にかけて』っていうセリフだったんですよ。それがだんだん面倒くせえ、長げえなと思って、じっちゃんでいいやって。最初は金田一耕助って言わせたかったんですよ。好きだったしね、金田一耕助。金田一耕助の孫なんだ、へえ~って言われせたいみたいな気持ちもあった。ルパン三世と同じですよね。なんかそういう孫っていいなと。それで始めたんですよね。そしたら、これなんか語呂いいなと思って、このタイミングで必ず言わそうって決めてやってて、ドラマでドカンみたいな」と、経緯を語った。 「週刊少年マガジン」(講談社)で長らく編集者として活躍してから作家に転身した樹林氏。多くのペンネームを使い分けヒット作を連発。姉の樹林ゆう子とは亜樹直名義でワインを題材とした「神の雫」も手がけている。 編集者としての経験は、作家転身後も生きている。樹林氏は「原作は文字です。ただネームは編集者に戻ってちゃんとやります。ネームになったらガラッと変わって、編集者ですから自分の書いた原作とか、これいらねえな、なんてカットしますよ。ださい、くどい、と。ソングライター兼アレンジャーみたいなね。小説書いてるときなんかもね、1割ぐらいは翌朝必ず削りますよ。もうくどいとか言って。長いの良くないじゃないですか、みんなダラダラ書くんですよって意外に。僕もやっぱついやっちゃうんですよ。だけど編集者の目で見たらいらねえなって結構あるんですよ」と語った。 「サイコメトラーEIJI」(安童夕馬名義)では物や人に触れると、そこに残存する記憶の断片を読み取るサイコメトリー能力が登場。「エリアの騎士」(伊賀大晃名義)では主人公に移植された心臓提供元の兄が度々降臨。このような設定の妙を質問された樹林氏は「過去に読んだもので、〝これいけるな〟なんて感じることありますよね。例えば、『記憶する心臓』っていうね、ノンフィクション的なものです。取材して本当に心臓移植した人がドナーの記憶がどうのこうの、みたいな内容なんですよ。すごく面白くて、スポーツ選手はどうなのかなって思ったんですよ、それ見ながら。〝兄弟だったら面白くね?〟みたいな。(このネタを)いつかやるかな、みたいな、(頭の)どこかにプールしてんだよね。ネタは、メモとかはしない。忘れるならその程度」と語っていた。 (よろず~ニュース編集部)
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