考えに行き詰まった時こそ「ムダ話に興じる」ことの意外な効能
コミュニケーションの多元性を確保する
おしゃべりは二人で成立する。しかし、二人では足りない。三人寄れば文殊の知恵、というように、二人より三人の方が、知恵が出やすい。 しかし、三人でもなお足りない。五、六人が集まって、おしゃべりをすると多元的コミュニケーションが可能になり、おそらく最高の人知のあらわれる可能性が生まれるであろう。コンピューターをいくら集めても、おしゃべりをさせることはできない。 『乱読のセレンディピティ』より
年をとってからの乱談
乱談の活力は老衰をおさえるばかりでない。若いときになかった頭のはたらきを促進する、若返る、などと考えるのは古い。うまくすれば高齢者は、若いときになかった知力、気力、精神力をのばして、若いときとは違った活力に満ちた生き方をすることができる。そういう高齢者がふえれば、高齢化を怖れることもない。 『乱読のセレンディピティ』より
外山滋比古(お茶の水女子大学名誉教授)