「直球は160km、でも甲子園は1回戦負け、進路はMLB公言」…高校生・大谷翔平を人気漫画のスカウトはどう評価する? 作者が語る大谷「漫画超え」問題
その年のドラフトで選ばれた選手の中のNo.1――その選手を「ドラフトキング」と呼ぶ。そんな「キング」を生み出すために、選手達の人生に寄り添い、原石を見つけ出すプロ野球スカウト。そのスカウトの活躍を描いたコミックが『ドラフトキング』(集英社)だ。昨年にはムロツヨシ主演でドラマ化もされた人気の同作。では、もし並外れた“眼”を持つ主人公・郷原眼力(オーラ)スカウトが、いまをときめく“あの選手”の高校時代を目にしたら? 作者のクロマツテツロウさんに話を聞いた。◆◆◆ 【漫画】『ドラフトキング』第1話を読む(全38枚) 「スカウトマンは眼が命」 そんな言葉を信条に、その年のドラフトで選ばれた選手の中から「ドラフトキング」を生み出すために、“才能の原石”を探し続けるプロ野球スカウト。その活躍を主人公・郷原眼力を通して描いたのが集英社の「グランドジャンプ」で連載中の『ドラフトキング』だ。 一方でMLBでのホームラン王、MVPの獲得など、その活躍のあまりのすごさに「漫画を超えた」とまで言われるドジャースの大谷翔平選手。だが、ここまでの成長を高校時代に予想できた人はほとんどいなかったのではないだろうか。 では、人気漫画の天才スカウト・郷原ならば、かつての大谷選手をどんな風に評しただろうか? 「当時ってアロルディス・チャップマン(現パイレーツ)がWBCで170kmを出したりした時期で、野球関係者の間でもちょっとスピードガンに対して『ホンマかいな』っていう雰囲気もあったんですよね。大谷選手も160kmを出したのは岩手の地方大会でしたし、当時は個人的には結構、懐疑的に見ていました(笑)。だから、スカウトの郷原の立場でも同じように考えたんじゃないですかね」 そう語るのは『ドラフトキング』作者のクロマツテツロウさんだ。 「特に当時の大谷選手はMLB志望も公言していましたし、スカウトの立場で言えば結構、獲得を考えるのは難しい選手だったと思います。ただ、当時は藤浪晋太郎投手(阪神→メッツ3A)と濱田達郎投手(中日→引退)と併せてBIG3と呼ばれていましたが、甲子園の実績なども含めてやはり一番手は藤浪選手でした。だからこそ敏腕スカウトの郷原なら、その難しい大谷選手を獲りに行った可能性もあるように思います」 誰もが狙う「金の卵」よりも、可能性は低くとも大化けする大器を一本釣りで狙う――それはまさにスカウトの手腕の見せ所ともいえる。だからこそ、現実の世界で日ハムが見せた交渉術はクロマツさんにとっても驚きだったという。 「MLB志望を公言していた大谷選手に対して、『日ハムで活躍して、それからMLBでも遅くはないよ』という前提で話をし、様々なデータを提示して説得したと言われていますよね。結果的に日本での活躍がなければいまのようなメジャーでの二刀流は認められなかったでしょうから、英断だったと思います」 そして、プロ野球をテーマにした作品を長年描き続けてきたクロマツさんが最も驚いたのは、この話を「二刀流を前提に提示」した日ハムの手腕だったという。
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