アベノミクスで増加中!? 「隠れ倒産」って何?/木暮太一のやさしいニュース解説
────「どういうこと??」 アベノミクスでは「3本の矢」をやりましたね。「財政出動」、「金融緩和」、それと「成長戦略」です。 「財政出動」とはつまり、国が税金を使って民間の会社に仕事を発注することです。仕事をもらった企業は儲かり、その分人を雇います。たしかにこれは、景気対策になります。しかしその副作用で、人材不足になりました。特に、建設業や飲食店では、働いてくれる人がいないという人手不足が深刻になっています。大企業でも採用に苦労することがあるようです。時給もどんどん上がり、それでもなかなか人を雇えないと嘆く経営者もいます。 ────「!! そんなことが起きているんだね……」 さらに、「金融緩和」をした結果、「円安」になりました。円安になれば、輸出がしやすくなります。商品を外国に売っている大企業を中心に業績が回復しました。これだけを見ると、よかったのかもしれません。 ですがその円安の副作用で、輸入品は値段が上がりました。輸入部材を仕入れて仕事をしている人たちは、コストが高くなったのです。 アベノミクスを実施したことで、たしかに景気が良くなりそう!という明るい雰囲気がもたらされました。しかし、副作用も見落としてはいけません。そして、それが「隠れ倒産」の一因になっていることも忘れてはいけません。 「隠れ倒産」は、統計的に表れず、また周囲から見ると「自主廃業」のため、問題が軽視されがちです。しかし、企業(特に中小企業)は、この隠れ倒産リスクに着目し、自ら避けていかなければいけません。今後も、需要を拡大させる政策が続けば、これらのリスクへの対応が必要不可欠になるでしょう。 ---------- 木暮 太一(こぐれ・たいち) 経済ジャーナリスト、(社)教育コミュニケーション協会代表理事。相手の目線に立った伝え方が、「実務経験者ならでは」と各方面から高評を博し、現在では、企業・大学などで多くの講演活動を行っている。