選択的夫婦別姓「困っている人」とは誰か 旧姓使用不可の企業ゼロ「経済界は口を挟むな」 ごまかしの選択的夫婦別姓議論
では、企業はどのような場面で不都合を感じているのだろうか。ある大手企業の役員は「海外出張したとき、パスポートとホテルの予約名が戸籍名と通称で異なりトラブルになった社員がいた」と話した。
むろん、2つの名前が混乱を引き起こしやすいことは否めない。パスポートに旧姓併記しても発展途上国などでは現地の入国関係者が理解しておらず、もめたケースもあるという。だが、日常生活での不便さは相当解消されているのではないか。
選択的夫婦別姓の導入に前向きな公明党の斉藤鉄夫代表は昨年末、「実際に困っている人が多くいる。もう決断する時だ」と述べた。「困っている人」とは誰なのか。
企業経営や国際マネジメントが専門の青山学院大学の福井義高教授は「企業内も含めて旧姓を使えるケースは増えており、不便さは解消されている。選択的夫婦別姓は国民の価値観の問題で、経済界が口を挟む問題ではない」と指摘している。