令和ロマンに真空ジェシカ…“これまでと違う”若手にどう対応?→ノンスタ石田明のアドバイスが納得感しかない
12月22日に放送される、漫才頂上決戦「M-1」決勝戦。今年、M-1の審査員を務める「NONSTYLE」の石田明さんは、先日『答え合わせ』(マガジンハウス新書)を出版。M-1 2008年チャンピオンであり、“生粋の漫才オタク”を自称する石田さんの漫才論や芸人論、そしてM-1論が熱く展開されている。関西特有のカルチャーだったお笑いが、全国区へ、人々の日常の風景へ。今年44歳の石田さんが芸人として戦い、揉まれてきた「時代」は、社会人として葛藤してきた私たちのそれと同じ世界線にあった。そんな石田さんに、同時代の戦友として生き様の話を聞きたい。第2回のテーマは「相方や部下の育て方」だ。(聞き手/コラムニスト 河崎 環) 「今の会社は合っていない。さっさと転職すべき?」→ノンスタ石田明の回答は? ● 上下真っ白なスーツを着る理由は「井上のせい」 【Q:利害を共にし、喜びや悔しさも分け合う相方との付き合い方というのは、友人や仕事上のパートナーに限らず、プライベートのパートナーにも言えることかと思います。かつては同じ方向を向いていたのに、時間が経つにつれて同じ視線も熱量も共有しなくなってしまうパートナーと、どうしたらコンビを継続し、人生の時間を共にできますか。】 (※質問内容は、編集部で作成した架空のモデルケースです) ――そういえば、石田さんといえばオールホワイトコーディネートですが、これは見られるのが仕事である芸人さんとして、舞台やテレビ画面での「見え方」を計算された上での白ですか。 石田:いや、これは井上のせいなんです。 ――えっ?
石田:これはね、井上に「お前ボケやねんから、明るい服着ろや」って言われたんですよ。そのとき、いやいや待てよと。このあいだお揃いのスーツを一緒に買いに行ったよな、なんで買ってから言うねん、と腹が立って、次の日、明るい色の中でも一番明るい真っ白で行ったという。以来ずっと白。はい、井上への当てつけです(笑)。 ――コンビ間の人間関係がよくわかるエピソードですね(笑)。著書の中でも書いておられましたが、本気でお笑いを追求するからこそ、相方との関係は本当に難しいですよね。 ● 叱咤激励とハラスメントは何が違うのか 石田:俺くらいの熱量を持ってやってくれよ、と言うのは簡単なんですが伝わらない。自分がどれだけやっているか、その姿を見せなしゃあない。そのうえで自分の心が折れるのか、それとも向こうがこっちを向いてくれるのか、賭けやと思うんですね。 前向きな言葉で叱咤激励する方法もありますが、「並走しながらの前向き」はいいけど上から前向きな言葉をかけて無理させるのはハラスメントやし。並走することが大事で、やれることってそれくらい。相手の気持ちが減っていった時って、つい自分のほうが正義だと思ってしまうんですけど、忘れたらあかんのは、自分は大したことないってこと。 ――相方やパートナーに対しては、距離が近すぎてついそれを忘れてしまうこと、ありますよね。 石田:僕は自分に期待し過ぎて、自分に溺れたことがあるんで。期待しているからこそ自分が相方よりも上の位置にいるつもりで、相手に上がってこいと期待してしまうんです。僕、プライベートで子どもが生まれてほんまに良かったのは、人間ってはじめは寝返りすらできひんのや、とあらためて感じたんですよ。 どんなにできへんように見える奴も、ここまでめちゃくちゃ積み上げてきた。こいつ、頑張ってここにきたんやと。そしたら、頑張り方を知ったらできるはず。頑張り方を教えてあげよう、仕事の楽しさを教えてあげようって切り替えられるようになったんです。