[国スポ少年男子]前半劣勢も後半の35分間で成長、可能性を広げた福岡県。V候補・東京都をPK戦で破り、2015年以来の準決勝進出!
[9.23 国スポ少年男子準々決勝 福岡県1-1(PK5-4)東京都 北部グラウンドB] 【写真】「スタイル抜群」「目のやり場に困る」“勝利の女神”のアウェー遠征に反響 福岡がV候補を撃破し、9年ぶりの準決勝進出! 23日、「SAGA2024第78回国民スポーツ大会」サッカー競技少年男子の部準々決勝が行われ、福岡県と東京都が対戦。1-1で突入したPK戦の末、福岡が5-4で勝った。 福岡の藤江智規監督(北九州市立足立中)は、「この子たちの強さは、ほんとにみんなが福岡のために、このチームのために、1秒でも長くこのチームでサッカーしたいとみんなが思ってくれてるので。こういう、ほんと際どいゲームになった時に、ほんとにみんなで頑張ってくれている。(圧倒された前半から)次の35分で勇気を持って修正してくれて……子供たちの頑張りに、頭が上がらないですね」と感謝する。 前半は東京の上手さの前に圧倒されるような内容だった。だが、1点差で食い下がった福岡が後半の35分間を自分たちの成長の時間としてチャレンジ。同点に追いつき、守備から流れを変え、最後はPK戦でV候補を上回った。 長野県と新潟県を破って勝ち上がってきた福岡の先発は、GK野上陸翔(北九州U-18、1年)、DFは右から斉藤大生(東海大福岡高、2年)、藤川虎三(福岡U-18、1年)、主将の落合春翔(北九州U-18、1年)、本多巧來(福岡大若葉高、1年)の4バック。中盤は松浦拓夢(福岡U-18、1年)と三浦亮将(北九州U-18、1年)のダブルボランチで右SH鶴元銀乃介(飯塚高、2年)、左SH能武麟太朗(東海大福岡高、1年)の4人で構成。2トップは前田陽輝(福岡U-18、1年)と細入巧幹(東福岡高、1年)がコンビを組んだ。 一方の東京は初戦で京都府を6-0で圧倒。この日は前日から先発2人とポジションも変更し、GK渡邊麻舟(FC東京U-18、1年)、右SB西澤航星(駒澤大高、2年)、CB田中理久(FC東京U-18、1年)、CB渡邉春来(東京Vユース、1年)、左SB下吉洸平(東京Vユース、1年)、今井宏亮(東京Vユース、2年)と木下勝正(川崎F U-18、1年)のダブルボランチ、右SH小林瞭介(横浜FMユース、1年)、ゲーム主将の友松祐貴(FC東京U-18、1年)、FW四日裕歩(横浜FCユース、1年)と黒木星南(横浜FCユース、1年)という11人で試合をスタートした。 前半、福岡は前田、細入の強力2トップからハイプレス。だが、東京は下吉や木下、今井が相手を見ながら狭い距離感でパスを繋ぐ。福岡は相手の非常に正確なボールタッチとポジショニングに苦戦。ボールを取りに行くものの寄せ切れず、入れ替わられて後退するようなシーンが増えていた。 落合は「自分たちよりも基準は1つ上の相手っていうのはもう分かっていたんですけど、やっぱ実際やってみると、映像で見てるよりも上手いところはありました」。主導権を握って攻め続けた東京は26分、右の黒木がゴール前へパスを通し、初戦2発の四日が右足で先制点を叩き出した。 ただし、東京はシュート数8-2の前半に1得点のみ。小野貴裕監督(関東一高)もこの点を残念がっていたが、再三の決定機でシュート精度を欠いたり、福岡GK野上の守備範囲にシュートを飛ばしてしまい、突き放すことができなかった。 福岡の藤江監督はハーフタイム、相手の上手さの前に一歩踏み込めていなかった選手たちへ向けて「残りの35分の中で成長しながら、自分たちの可能性をもっと広げなきゃいけないんだっていう話をベンチでしてですね。『もう勇気を持って踏み込むしかない』『そこをやってみて、自分たちのできることを増やしていくしかないよ』と」メッセージ。この言葉を受けた選手たちが35分間で自分たちを変える。 前半、ともに我慢強く戦っていた三浦と能武に代えてMF坂本馳空(飯塚高、1年)とU-16日本代表のMF武本匠平(福岡U-18、1年)を同時投入。直後の4分、福岡は右CKを獲得すると、本多が左足で正確なボールを蹴り入れる。GKの頭上を越えたボールをファーのCB藤川がヘディングシュート。藤江監督が「(藤川は)クラブユースで自信をつけてここに入ってきてくれて。あの場面でゴールができるっていうのは、もうほんと彼の持っているもの。今後も期待したいなと思います」と称賛した一撃で同点に追いついた。 福岡はさらに7分、武本の左クロスから前田がヘディングシュート。また武本がワンツーからゴールライン際まで切れ込んだほか、松浦のCKから前田が決定的なヘッドを打ち込むシーンもあった。福岡はDFラインが押し上げてよりコンパクトな陣形に。落合が思い切りよく前に出てボールを奪ったほか、松浦ら中盤の選手がより深くアプローチへ行けるようになり、流れを引き寄せる。また、前半から対人守備の強さを見せていた右SB斉藤の守備力も効いていた。 東京は後半10分に小林を前日2得点のFW川村求(横河武蔵野FC U-15、中3)へ、また21分には渡邊をCB安田礼(東海大高輪台高、2年)へ、24分には黒木をFW伊藤優(三菱養和SC巣鴨ジュニアユース、中3)へそれぞれ入れ替える。 だが、前半に比べると落ち着いてボールを保持する時間が明らかに減少。相手の前に強いMF坂本やCB藤川に跳ね返され、DF背後への攻撃もCB落合に対応されていた。一方の福岡は鶴元、武本の両SHのスピード、テクニックを活かした攻撃などから勝ち越しのチャンスを創出。25分には細入が前線で潰れ、抜け出した前田が左足を振り抜く。だが、東京GK渡邊がファインセーブ。福岡は31分にも本多の攻め上がりから前田がファーポスト直撃の左足シュートを打ち込んだ。 終盤は互いに攻め合う展開。東京は存在感を放つ今井がボールに係わり、右SB西澤や友松がクロスへ持ち込む。35+2分には友松の右クロスに川村が飛び込むも枠左へ。直後の35+3分、福岡は野上に代えて“PKセーバー”のGK田中利玖(福岡U-18、1年)を投入した。 1-1のまま後半終了。PK戦は4-4で迎えた5人目、先攻・東京のシュートを福岡GK田中が左へ跳んでストップする。福岡は1人目の落合から細入、藤川、武本が決め、5人目は鶴元。右足シュートでゴール右を破り、歓喜を爆発させた。 福岡の藤江監督は、「(福岡県選抜が掲げてきた)『福岡発世界へ』っていう思いと、相手というよりも自分たちの可能性をもうとにかく広げていって、ということをチームとしては掲げながら、さらに今年のコンセプトとしては、献身的にやるということと、誠実に取り組むということ、そして全てのことに感謝をして過ごすということ、ここを大事にしながら、1人1人のレベルアップをしていきたい」。この国スポは、決勝・3位決定戦の行われる最終日まであと2試合。また成長するチャンスを掴み取った選手たちは、スタッフやサポートメンバー、応援してくれる人たちへの感謝の思いを持って残り2試合、優勝を目指して戦う。 福岡は2015年大会で初優勝しているが、当時は神奈川県との同点優勝だった。チームは「福岡でまだ誰も見たことのない景色を見よう」という目標を掲げて活動をスタート。落合は「日頃からスタッフの皆さんに感謝しようっていうのは言ってるんですけど、そこは全員がほんとに思っているところが今日出たのかなって思います。(これから、)いい2日間過ごしたい。準決勝も引かずに自分たちの良さ出せば絶対に負けないと思うんで、そこです」と力を込めた。準決勝の対戦相手は広島県。強敵を再び乗り越え、最終日に「福岡でまだ誰も見たことのない景色を」見る。
【関連記事】
- [国スポ少年男子]「16人全員でチームとして戦えている」愛媛県が残り5分からの2ゴールで大分県に逆転勝利。初のベスト4入り!
- [MOM4841]愛媛県DF石原拍(愛媛U-18、1年)_守備の中心選手が華麗な攻撃参加で同点ゴール。自身の活躍で目標の「駅スタ」行きを手繰り寄せる
- [国スポ少年男子]強度、奪うことへの執念、そして「レンのために」の思いも表現。地元・佐賀県が福島県を下し、初の準決勝進出!
- [MOM4842]佐賀県MF末次瞬(鳥栖U-18、1年)_左足の質や“サガン鳥栖らしさ”を兼備。ハードワークで勝利に貢献も「もっと走りたい」
- 国スポ少年男子4強に愛媛県、佐賀県、広島県、福岡県!! 昨年度3位東京都などがベスト8敗退に :準々決勝