『DOAXVV』スピンオフ『VVプリズム』試遊版レビュー。実像感の増したグラフィックでドキドキの密着シーンを演出。撮影機能には“露出”調整などの新要素も搭載
コーエーテクモゲームスより、2025年3月6日に発売予定の恋愛アドベンチャー『Venus Vacation PRISM - DEAD OR ALIVE Xtreme』(ヴィーナス バケーション プリズム - デッド オア アライブ エクストリーム -。以下、『VVプリズム』)。対応ハードはプレイステーション5(PS5)、プレイステーション4(PS4)、PC(Steam、DMM GAMES)。 【記事の画像(75枚)を見る】 本作は現在サービス中のバカンス&コミュニケーションゲーム『デッド オア アライブ エクストリーム ヴィーナス バケーション』(以下、『DOAXVV』)から派生した新作で、同作に登場する一部の女の子たち6人と恋愛をくり広げる、スピンオフタイトルです。 まだまだ内容も未知数な部分が多い本作ですが、2024年11月17日に『DOAXVV』との招待制合同イベント“VVスペシャルパーティ―”が開催。抽選に当選した方々へ向けたクローズド体験会が実施され、その一端をいち早く遊ぶことができました。 本記事では、試遊会と同等のバージョンをお借りして実際に遊んでみた、プレイインプレッションをお届けしましょう。なお、まだまだ開発中のバージョンとのことで、製品版とは異なる場合があります。 バカンスで、女の子たちと出会う物語 物語の舞台となるのは、常夏の楽園“ヴィーナス諸島”。美しさと強さを競う“ヴィーナスフェス”が開催されているこの島に、“女神(ヴィーナス)”と呼ばれる女の子たちが集います。プレイヤーはヴィーナス諸島のオーナーとして、女の子たちとともにフェスを盛り上げていきます。 といった前提の部分は『DOAXVV』とほぼ同じで、『VVプリズム』では女の子たちとの出会いや仲が深まっていく部分が、新たに恋愛アドベンチャーゲームとしてイチから描かれていくようです。『DOAXVV』を遊んでいない人でも入り込めますし、すでにプレイ済みの方も描きかたの違いを感じられて新鮮な気持ちで楽しめそうです。 試遊版では導入の物語については触れられず、女の子たちとのコミュニケーションに注目した内容。登場したのは、フェスのアルバイトであり、オーナーのサポート役である“みさき”、そしてみさきと中学校の同級生だった“ななみ”の2名とのコミュニケーションが体験できました。 みさき ななみ なお、本作にはほかにも、フィオナ、たまき、エリーゼ、ほのかを加えた、計6名が登場します。一般的な恋愛アドベンチャーゲームではなかなか採用されないフル3Dグラフィックでゲームが展開することも、『DOAXVV』と同じく大きな特徴となっています。 システムはオーソドックスなアドベンチャー ゲームはテキストとイベントシーンで読み進めていく、アドベンチャーゲームらしいシンプルなもの。女の子たちとの会話では選択肢が複数登場し、選んだ選択肢によって女の子の好感度が上下したり、イベント自体が分岐したりすることも。 選択肢によって、画面右上に小さくアイコンが表示され、好感度の上下がわかるようになっていました。 製品版でも同じように進んでいくと思いますが、具体的にどのような方法で各女の子とのエピソードが描かれていくのかはいまのところ不明。“全体の物語を通したエピソード”を重視しているとのことなので、大筋の中で各女の子とのルートへ分岐していくのだと思われます。 ボイスはフルボイスとなっていて、全編を通してボイスでセリフが楽しめるため、より深く女の子たちの魅力を知ることができそうです。 『DOAXVV』は女の子たちとビーチバレーに挑む育成要素があるのですが、本作ではその要素は設定的にあるだけで採用はされていないようです。フェスの裏側でオーナー(プレイヤー)が女の子たちと交流していくシーンをメインにしているのでしょう。 そのため、今回体験できた内容も会話シーン&写真撮影シーンのみ。ゲームを進めるシステム的な部分はあまり体験できませんでしたが、インタビューによるとミニゲームなどもあるそうなので、ほかにもさまざまな要素がありそうです。 ちなみに、選択肢をすべて網羅してみましたが、試遊版ということもあり全体でプレイできたのは30分前後(撮影シーンの時間を除く)とかなり短め。ほんの一端を体験できた、という感じだと思います。 密着距離で描かれる物語 本作の特徴は、すべて主観視点でシーンがくり広げられていくこと。視点はシーンに合わせて動きますが、左スティックで多少の回り込みができ、右スティックで自分の視点を動かすことができました。女の子の手もとに注目してみたり、デフォルトの視点では映っていない女の子の表情を楽しんだりと、視点移動による楽しみも奥深そうです。 会話シーンはセリフに合わせて女の子が細かく動きますが、文字送りをすればモーション自体もつぎのセリフに合わせてスキップされるので、文字をポンポン読み進めたい人もご安心を。ただ、本作は没入感のあるシーン作りに特化しているので、動きも合わせて読んでいったほうが本作の魅力を最大限に楽しめるでしょう。 シーンは主観だからこそ女の子との密着感が味わえます。まさに目の前に女の子がいるかのような視点で進んでいきますが、デートシーンなどは画面いっぱいに女の子の顔が表示されるので、実際のところは「あまりにも密着しすぎなのでは」とも思ったり(笑)。そこは、女の子に吸い込まれていくような恋愛アドベンチャーだからこその演出だと思います。 とくに“密着感”を感じられるのがシーンごとのモーションの数々で、奥から女の子が近くに駆け寄ってくる、イスをズラして横に近づいてくる、はたまた“手を額に当てて熱を測る”など、密着感を演出するためのさまざまなシチュエーションが楽しめました。 イスをズラしながら……。 グイッと真横に座るなど、その“密着感”をフィーチャーした演出も多いです。 実像感の増したグラフィック 本作は新グラフィックエンジンを採用しており、『DOAXVV』より美麗なグラフィックを目指して制作されています。シンプルにオブジェクトや女の子が高繊細になっていることは、見ただけでハッキリとわかりました。そのおかげで、よりリアリティーといいますか、実像感がアップしたように思います。 特筆すべきは“ライティング”で、シーンごとに女の子に当てられる光や、影のライティングがものすごくクッキリとしていて、本作の目指す方向性のひとつが感じられます。シーンごとに昼、夕方、夜などがライティングでもより鮮明に表現されているため、『DOAXVV』とはまた異なる空気感が味わえました。 『DOAXVV』は、女の子の回転機能はあるもののシーンごとにだいたいライティングが決まっていて、決められた4方向からのライティングのほか、イベントシーンなどに合わせて調節されたものが採用されています。 本作でももちろん決まっている部分もあり、光が当たる方向自体は固定ですが、女の子が細かく動くことやある程度は光の当たる方向がフリーになっているため、シーンごとに女の子の印象がかなり変わります。 昼だから外は明るいけど屋内なので薄暗い感じとか、夜だから暗いが月明かりで照らされている女の子など、そういった細かな表現がよりリアルになった印象です。 会話する女の子も撮影できちゃう! 写真撮影機能にも対応しており、本作では“会話シーン中、いつでもカメラを構える”ことが可能です。通常のセリフが展開されている際にも、ほんの少しだけカメラ視点を動かすことができ(回転は自由でした)、女の子のふとした瞬間も切り取ることができるのがポイントです。 本作のセリフは、選択肢待機以外は自動でつぎのセリフに移行します。撮影機能をセリフ中に中止すると、セリフの頭から再度再生されたので、物語と撮影の両方を楽しめました。 会話しているのにカメラを構えるオーナーくんに「ちゃんと話を聞きなさいよ!」と自分でツッコミたくなる部分もあります(笑)。が、そこはゲームですから。 また、イベント中に撮影シーンに移行する場合もあり、ここはゲームとしての撮影パートといった感じで、女の子の周囲を自由に動いたり、ズームレンズのように遠くから撮影するなど、女の子を魅力的に撮影できます。“主観視点で”を考えると、オーナーくんが空中に浮くことも可能なわけですが、やはりそこはゲームというところで(笑)。 桟橋から飛び出しての撮影もできますが、まあ主観だと考えたらすごい体勢かもしれないですね(笑)。 具体的に説明するとセリフを言っているシーンはカメラの視点は基本固定(微調整のみ可)で、選択肢が表示されているときは、後述の撮影イベントシーンなどのように、かなり自由な角度での撮影が楽しめました。 ポーズ指定はできませんでしたが、選択肢によってコーデ(いわゆる衣装。『DOAXVV』でいうところの水着)が変わることも。コーデについてはあまり種類は多くないとのことですが、周回プレイなどで変更できるようになるそうなので、どの程度のカスタマイズ性が用意されているのかは製品版が気になるところ。 新たな撮影の機能 被写界深度の変更など、『DOAXVV』にある撮影機能は使えて、それらに加えて本作ではフォーカスをどこに当てるのかも調節できました。基本的には女の子にピントを当てるとは思うのですが、使いかた次第ではより奥深い写真撮影が楽しめそうです。 角度を90度変えれば、縦写真も撮影できます。 『DOAXVV』にはない撮影機能の大きな要素としては、撮影中にいつでも露出(いわゆる光の量)の変更ができるようになり、明るい写真や暗めの画面を撮影できること。明るさの調整は『DOAXVV』でも待望されていましたが、おそらくゲームエンジンの都合などで実現できなかったことなのでしょう。 あえて極端なシーンも含めて、明るさ調整をご紹介。 いちばん明るくした状態から、どんどん暗くしていくと、こんな感じに変化していきます。 夜のシーンでも明るめにできたり、明るい場所で暗く撮ってみたりなど、カメラ機能部分でのカスタマイズ性が盛り込まれているため、本作ならではの撮影が楽しめるのが魅力です。 セリフ中の撮影時ももちろん露出変更に対応しており、カメラやボタン表示のHUDを隠してしまえば、会話シーン自体の光量も自分好みに調整できたりしちゃいます。 また、地味ながらに目線といいますか、首の傾きを固定できるようになりました。視点の誘導をカメラ目線にすること自体は『DOAXVV』でも可能ですが、目線(首の傾き)はカメラ位置固定で、首の傾きはポーズによって許容範囲がマチマチです。本作では体験した限りでは首の傾きはそこそこ自由かつ、ふたつの視線誘導に対応しています。 首の傾きを固定しつつ、カメラ目線 首の傾きを固定しつつ、目線は顔正面 首の角度はかなり自由につけられます。 上記のようなバリエーションで女の子を撮影することができますが、実際のところ『DOAXVV』でも“時間停止ウォッチを駆使する”など、テクニックで首位置、目線のあれこれは調整できる部分です。ただ、首位置を固定してリアルタイムで女の子の角度をチェックするのが新鮮な要素でした。ちなみに本作でも条件を満たすと時間停止ウィッチが使用可能になるそうです。 そのため、向いてほしい方向を指定しながらライティングをいじって“いちばんカワイイ撮影角度を探す”、みたいな楽しみかたができます。このあたりはもともとある遊びでありながら、新たなグラフィックエンジンを採用したからこその、ゲーム的な魅力が新たに感じられました。 また、フレームやフィルター機能は『DOAXVV』にもありますが、ロゴや女の子の名前を自由に配置できる、ステッカー機能もありました。昨今のゲームのフォトモードにあるような、こういった部分でのカスタム自由度の高い撮影も楽しめそうです。 女の子の表現について さて、本作は発表時にファンから『DOAXVV』と比べて女の子のかわいさについての賛否の声があったりと、グラフィックは美麗になりつつも、まだまだ課題を感じるところもありました。 試遊版で遊んでみた個人的な感想としては、動いている女の子たちはやはりかわいくて、静止画だけでは伝わらない魅力がありました。7割ぐらいのシーンでは「『DOAXVV』と同等、もしくはそれ以上にかわいい」と、場所によっては気にならない印象でした。 このあたりはシーンによってのライティングが著しく影響しているのかなと思うところで、陰影がクッキリしていてもかわいいと思う場面もあれば、たとえば逆光でうっすら陰影があるとあまりキュートに見えない場合も。それでもかわいい角度があるなど、ライティングによる1シーンの切り取りかたで印象がかなり異なります。 ようは、場所や角度によっては「うわっ、めちゃくちゃにかわいい!」と思うこともあれば、正直あまりかわいく見えないなと思ったりと、見る部分で印象が大きく異なる場合があり、その中で“かわいいと感じたのが、試遊全体の7割くらいのシーン”といった感じです。 とはいえ、インタビューでも「女の子の魅力はまだまだ磨いている最中」とお聞きしているため、まだまだ制作途中の部分もあるのだと思います。ライティングの表現の幅ですとか、光の調節自由度が高いので、100%のシーンですべて納得できるかわいさを出すのは難しいとは思いますが、そこはぜひ製品版でしっかり磨いていってほしいですね。 モデリングについても賛否分かれる部分があることはわかりますが、こちらもシーンによって「従来のイメージのまま昇華しているな」と思うこともあれば、「あれ、ちょっとイメージと違うな」と思うことがあったり。 言ってしまうと、みさきについてはほぼ100%カワイイと思うのですが、ななみについてはまだ甘いところがあるように感じていました。 同じシーンでも「あ、カワイイ」と思ったり……。 「ん、ちょっと微妙かも」と正直感じたりも。 でも従来の、ななみのイメージにかなり近い場合もあったり……。 印象がかなり違うように感じたりと、かなり不思議なんです。 身体のモーションや表情(フェイシャルモーション)は細かに変化するため、単なる会話シーンを見ているだけでも感情の変化がたくさん感じられました。ただ、おそらくリアリティーを重視しすぎない作りにしており、ゲームの表現すぎるかなと、実像感や密着感が増しているぶん、少し気になりました。とくにリップシンクは過剰に変化しないようになっている気がします。もちろん、イチから作り直しているからこそ生じている部分もあると思いますし、これはこれでいいと思います。 また、“縮小された画像1枚を見る”のと“高解像度のゲーム画面を見る”のとでは、自分の視点がどこに注目しているのかなどの影響からか、画面から感じられる印象がかなり違います。ゲームをしていると基本は女の子の目に注目すると思いますが、写真だと全体を見て判断してしまっているのでしょうか。もちろん、あくまで僕個人が感じた部分です。 みさき&ななみ、どっちを選ぶ!? 最後に体験したシーンについて。試遊版では最初に“みさき”を撮影することになり、そこからデートに誘われる流れに。ですが、みさきは用事を思い出してどこかへ行ってしまいます。 そんなとき“ななみ”が現れ、こちらからもデートへのお誘いを受けます。このときに選択肢で、ななみとデートをするのか、それともみさきとデートをするのかが決まる内容になっています。いずれもカフェデートをして、ななみの場合は最後にななみの撮影パートが楽しめました。 いずれのルートにせよ、試遊の最後はふたりがオーナーの前で鉢合わせて終了、といった内容。これがなんだか気まずい雰囲気のまま終了します……! 詳細は語られませんでしたが、ななみを選んだ場合、「みさきとデートの約束をしたのに、ななみとデートをした」といった状況で、みさきの場合は「用事があってななみとのデートを断った。でも、その用事とはみさきとのデートだった」といったことになっているのかも? 今回はデートを堪能するだけでしたが、本作でどのような物語が展開されていくのか、とても気になる試遊版となりました。 試遊最後にはゲーム的な画面表示とともに、好感度やフェスの“ファン総数”などがアップしていて、こちらが何に影響するのかも気になる! 上品さが際立つ恋愛体験 体験した中ではコーデは全体的にセクシー度が控えめで、シチュエーションもセクシーというよりはどぎまぎとしてしまうようなドキドキ感の強さが目立っていて、セクシーを強調したいわけではないのかなと感じました。 試遊版はいたって上品な作りになっていて、『DOAXVV』の運営を7年続けてきて培われた“全体の上品さ”のようにも思います。 あくまで一端ではありましたが、本作の目指す方向性や、描きたい女の子の魅力が少しながらに伝わった試遊版。今後イベント外でも試遊できる機会がさらに設けられるのかも気になりますが、さらなる続報も楽しみです!