青木のジャイアンツと入団合意の真相とは?--なぜ、こんなに安いの?
以上の2点から、くだんのスカウトは、青木が望む契約を得られなかったのではと話し、それがここまで契約がずれ込んだ理由ではないか、とも推測したが、先週の段階で、「彼を必要としているチームは、必ず出てくる」とも予想していた。安定した打撃、守備に加え、「青木は、野球を知っている」。その数字に表れない部分を評価するチームは、「やがて、現れる」と。 それがジャイアンツだったわけだが、彼らは一昨年、マイク・モースと契約を交わしている。本塁打を打ってくれるなら守備には目をつぶると、GMらが考える典型的なタイプで、昨年は打率2割7分9厘、16本塁打、61打点と活躍した。彼は、カージナルスとのプレイオフでも貴重な同点本塁打を放っている。ところが、残留希望だったモースとの再契約を、ジャイアンツは見送った。なぜか? 彼の守備は、目をつぶれるレベルではなかったのだ。 ジャイアンツはこのオフ、パブロ・サンドバルと再契約できず、本音では外野にパワーヒッターが欲しかったはずだが、ブルース・ボウチー監督の好みとしては、青木のようなタイプだったのだろう。青木もまた、複数年契約を提示したチームがあったにも関わらず、ジャイアンツを選んだのは、そうした監督の考えなどを理解してのことではないか。求めていたような契約ではなかった。しかし、意中の球団ではあったに違いない。 さて、これで残るはイチローだが、ジャイアンツには、イチローという選択肢もあったはずだけに、これでイチローのジャイアンツ入りも消えた。(文責・丹羽正善/米国在住ジャーナリスト)