青木のジャイアンツと入団合意の真相とは?--なぜ、こんなに安いの?
FAとなっていた前ロイヤルズの青木宣親がジャイアンツとの1年契約に合意。16日午前(日本時間17日未明)、複数の米メディアが報じた。 それを伝えた1人、CBSスポーツのジョン・ヘイマン記者によれば、青木の年俸は400万ドル(約4億6000万円)+出来高。2年目は球団オプションで、ジャイアンツが2年目のオプションを行使し、さらに青木がすべての出来高をクリアした場合、最大で2年1250万ドル(約14億円)の契約になるそうである。さらにヘイマン記者は、他チームから複数年契約を提示されたものの、青木が、サンフランシスコという街、優勝を狙えるチーム、出場機会を考え、ジャイアンツを選んだとツィートした。 青木が過去3シーズンで稼いだのは、495万ドル(約5億7000万円)。今回、1年でその額を上回る可能性があるが、当初は、2年1600万ドル(約18億円)程度の契約を結べるだろうと予想されていただけに、予想を下回る着地点となった。青木の代理人は、少なくとも3年契約を狙っていたとも伝えられる。こういう結果になったのはなぜか。
過去3シーズンの打率は、.288(2012)、.285(2013)、.285(2014)と安定している。出塁率も、.355(2012)、.356(2013)、.349(2014)と、やはり安定して高い。33歳になったばかりの選手であれば、この数字が急激に落ちるとも考えにくい。リードオフタイプの外野手を探しているチームなら、理想的な選手でもあったはずだ。 ただ、青木の価値が予想を下回った理由として、あるア・リーグのスカウトが、2つのポイントを指摘した。 1 長打力の欠如 「青木は、レフトまたはライトのコーナー外野手だ。その2つのポジションは、伝統的にパワーヒッターのポジションでもある。昨季1本塁打という数字は、各球団の決断を鈍らせたはずだ」 青木は、メジャー移籍後、1年目に10本、2年目に8本の本塁打を放った。しかし、昨年はわずかに1本。ロイヤルズの本拠地は広く、本塁打が出にくいとされる。ただ、81試合は敵地で試合が行われるため、本拠地の広さだけが原因ではないと見られた。実際、飛距離が落ちているというデータもあった。2012年のフライの平均飛距離は280フィート(85.344m)だったが、2014年は249フィート(75.895m)だった。 長打があるなら、守備には目をつぶる、というチームは決して少なくないため、こうした数字は不利に働いたよう。 2 守備力 「青木の守備力は評価が割れるんだ。平均以上と評価するチームもあるが、平均程度と評価するチームは少なくない。我々は、後者だった」 青木の守備に関して、一般的には、決して低くない評価がある。守備範囲の広さを示すとされるUZRの数値は昨年、5.9だった。プラス5以上なら、平均以上とされるレベルである。ただ、10以上で「GOOD」、15以上で「ゴールドグラブレベル」とされる中では、セールスポイントにはなり得なかったか。イチローなど、2003年と2004年には20を超えているのだ。