東武鉄道、鬼怒川線で蒸気機関車を運行へ ── 2017年の運行目指す
東武鉄道は10日、2017年をめどに栃木県の鬼怒川線で蒸気機関車の運転を目指すと発表しました。JR北海道が保有するC11形207号機を借り受ける形で、下今市~鬼怒川温泉間(12.4km)での運転を予定しています。これが実現すると、約50年ぶりに同社線内に蒸気機関車が復活することになります。
C11形207号機は1941年に製造され日高本線などを中心に活躍。1974年に引退した後は、静内町(現・新ひだか町)の公園に保存されていました。現役時代は霧の多い線区を走っていたため、視界を確保するためにヘッドライトが2灯化されており、その姿からカニ目と呼ばれています。JR北海道によって2000年に「SLニセコ号」として復活した後は、僚機の171号機とともに道内各地のSL観光列車を牽引しました。
東武鉄道は1899年に蒸気機関車を導入。ピーク時の1947年には60両を保有していました。末期は館林~葛生間を結ぶ佐野線の貨物列車で活躍し、1966年6月26日の「さよなら列車」をもって全廃されました。 東武鉄道の蒸気機関車は英国ベイヤー・ピーコック社などの海外製蒸気機関車が主流でしたが、わずかながらC11形も導入しており、1945年~1963年まで活躍した実績があります。 同社ではSLの運転を通して鉄道産業文化遺産の保存の他、日光や鬼怒川地区の沿線活性化および栃木・福島エリアの支援活動の一助となることを目指すとしています。