「保育園で『なんで右手がないの?』と言われてウザったくて…」“生まれつき右手がない”義手ギタリストの女性(29)が明かす、子ども時代の苦労
――両親から、「右手のことを聞かれたら、こうしなさい」的なアドバイスはありましたか。 Lisa 右手のことを聞かれて、ウザったいなとか、イヤだなとか思ったり、ちょっとでもトゲのある言い方とかされたら、言い返してやりなさいって感じで育てられました。さらに、「できないことがあれば、人の倍努力すればできるから」ぐらいのスパルタだったし(笑)。変に励ますというのもなくって。
「だから、あなたの子は手がこうなったんだ」両親が激怒した出来事
――両親はそれを実践してましたか。たとえば、Lisaさんの右手を見て、なにかを言ってくる者には毅然とした態度を取っていた? Lisa 食ってかかるほうですね(笑)。宗教が絡んじゃってる人がいて。「水子の霊がどうのこうの」って始まって「だから、あなたのところの子は手がこうなったんだ」みたいなことを言ってきたらしくて。 その人はもともと友人だったらしいんですけど、さすがに両親は激怒して「二度と家に来んな!」ってドアをバーンって閉めたそうです。 ――小学校に上がって、周囲からの見られ方は変わりましたか。 Lisa 小学校でもイジメはなかったですけど、体育の授業というものが出てくるじゃないですか。そこで「できないこと、意外にあるなあ」って。 小学校の体育という場面で、そういったことを初めて知った感じですね。たとえば、鉄棒とか。縄跳びは、自分で縄跳びの縄を右手に結んで、ブンブン回して飛ぶことができたんですけど。 そうやって、小さいなりに自分で工夫して、「よし、これでいけるぞ」っていろいろクリアしてたんですけど、鉄棒だけはほんとにダメだった。やっぱり、つかむことができないので。 なので、先生に「できないから手伝って」とお願いして、体を持ち上げてもらってグルっと回って。
日常生活では、自転車に乗れないことが“困りごと”だった
――小学校以降は、体育の授業がネックだったと。 Lisa 一番のネックでした。あと、音楽の授業でリコーダーを吹くじゃないですか。みんなは普通のリコーダーを使ってるんですけど、私ともうひとりの手を欠損した同級生の男の子だけ、片手用リコーダーを注文して。 それが、バカ高かったらしいんですけど。いろいろ部品が付いていて、リコーダーというよりクラリネットみたいな見た目でゴージャスなんですよ。 学校以外で困ったのが、自転車に乗れないこと。手がない子でも、すっごい練習して乗れるようになった子って、まれにいますけど。私の場合は、家が完全にクルマ族で。
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