JTもフィリップモリスもBATも「たばこ税増税」に反対していない? 記者が耳にした“ホンネ”と“裏事情”
「大手3社は増税に反対はしていない」
━━たばこ会社にとって増税は痛手であり、各社反対していないのか? 「今世界的にたばこ税は上がってきており、なおかつたばこを吸う人が減ってきているのだが、大手3社は言い分の違いはありつつもいずれも増税に反対はしていない。ここでたばこ市場について簡易に説明しておく。今、日本の紙巻たばこの6割はJTがシェアを持っており、2番目がフィリップモリスでその次がBAT。一方、加熱式はJTが1割、フィリップモリスが7割でBATが2割のシェアを持っている」 「JTに取材したところ、『防衛財源を喫煙者で負担するのは疑問』『加熱式と紙巻で税の差があるのは不公平。その差が解消される今回の方針について異論はない』と答えた。JTは紙巻のシェアが大きいという背景に加えて、葉たばこ農家の生産した葉たばこをすべて買い取っている。そのため、『葉たばこ農家への配慮も必要だ』というスタンスがある。一方、JTも加熱式にも投資しているため、『加熱式への関心が低い』などということはない」 「フィリップモリスは『税差は維持したまま増税してほしい』『加熱式は有害物質の発生を90%以上減る』と答えた。つまり、フィリップモリスとしては“差”を解消すると加熱式に変えた人が紙巻に戻ってしまうことを危惧している。加熱式を推し進める根拠として、『加熱式は有害物質の発生が紙巻と比べると90%以上抑えられる』というフィリップモリスインターナショナルの研究がある」 「BATは『健康リスクを反映した税制にしてほしい』『税差を維持した増税でもいいのでは』と回答。BATもフィリップモリスと同様に『加熱式は9割以上有害物質の発生を抑えられる』という研究を行なっており、そうしたリスクを反映してほしいと話していた」 「また、税差のある現在のやり方で増税しても、政府の目標とする税収確保は可能、との試算があるとしている」 ━━たばこ税は防衛費ではなく医療費に充てるべきでは、という声もあるが。 「そういう意味では、『紙巻から加熱式にすることで健康へのリスクを減らせれば医療費も減らせる』と話すたばこ会社の人もいる。『加熱式にすることで健康へのリスクを減らせれば医療費も減らせる』と。一方で当局側は『加熱式にしても健康へのリスクが減るということは立証されていない』というスタンスだ。確かに有害物質は減っているがそれイコール健康リスクを下げられる、ではない。加熱式が現れてまだ10年程度なので長期的な影響が測れていないのだ」 ━━たばこ税増税について財務省はどのように説明しているのか? 「財務省にも取材したところ『加熱式も紙巻も同じたばこであるため、(加熱式も紙巻と同様に税を納めるという)適正化を行なった』『〈加熱式たばこの健康被害軽減〉は科学的にはまだ証明されていない』『安定的な財源確保(健康リスクで税の差を付けるものではない)』『防衛財源はたばこ税だけではなく、社会全体で幅広く負担するものになっている』と回答している」 (ABEMA/倍速ニュース)
ABEMA TIMES編集部