『杉咲花の撮休』― 日本映画界をけん引する監督陣が「杉咲花」をお題に大喜利!?
特典映像には、杉咲花を囲んで3監督が赤裸々に語り合う特別座談会<完全版>も収録!
才能豊かな監督同士の作品が一度に楽しめるオムニバス企画は、観る側にとっては“お得で贅沢”でしかないが、撮る側、自分自身役を演じる側にとっては果たしてどうなのだろうか。答えが知りたい人は、特典映像に収録されている杉咲と3監督との特別座談会<完全版>や、完成披露試写会での4人の舞台挨拶の模様を、是非ともまずはまっさらな状態で本編を鑑賞してから、答え合わせをするようにじっくりとチェックして観て欲しい。杉咲と監督が明かす各話のとっておきの撮影裏話と共に、互いの作品へのリスペクトに嫉妬を滲ませた、クリエイターの本音にも触れられるからだ。 たとえば、「Q.やられた~!と思ったお芝居はある?」という質問に、「第4話『リリー』での杉咲さんと光石研さんとのやりとり(三宅)」「最終話『五年前の話』の劇中でインタビューを受けているシーン。この企画で白黒やる?(今泉)」「第3話『両想いはどうでも』で本人役なのにああいうテーマ(恋愛)をやっている危うさにゾワッとした。作品の枠のなかで、よくこういうのをやるなぁと(松居)」とそれぞれの監督が答えたり、杉咲が「各話ごとに、それぞれの組のおなじみの俳優が出演していて、監督との信頼関係がうらやましかった」と吐露していたり。さらに、「脚本とは、監督から俳優へのお手紙的な存在(今泉)」でもあり、「ト書きの書き方に、それぞれの監督の個性が如実に現れる(杉咲)」との切り口で展開される、今の日本映画界をけん引する俳優と監督たちによる「監督論」には、瞠目させられた。映像業界を志す俳優やクリエイターにとっても、必携のDVDであるといえるだろう。 文=渡邊玲子 制作=キネマ旬報社
「WOWOW 連続ドラマW-30 杉咲花の撮休」 ●2023年/日本/本編約147分 第1話「丸いもの」 監督・脚本:松居大悟 出演:杉咲花、松尾諭、上白石萌歌、松浦祐也 第2話「ちいさな午後」 監督:今泉力哉 脚本:燃え殻 出演:杉咲花、松尾諭、若葉竜也、芹澤興人、中田青渚、岡部たかし、塚本晋也ほか 第3話「両想いはどうでも」 監督・脚本:今泉力哉 出演:杉咲花、松尾諭、泉澤祐希、菊池亜希子 第4話「リリー」 監督:松居大悟 脚本:向井康介 出演:杉咲花、松尾諭、ロン・モンロウ、光石研ほか 第5話「従姉妹」 監督:三宅唱 脚本:和田清人、三宅唱 出演:杉咲花、松尾諭、坂東龍汰、橋本愛ほか 最終話「五年前の話」 監督:三宅唱 脚本:和田清人、三宅唱 出演:杉咲花、松尾諭、坂東龍汰、芋生悠、足立智充、橋本愛ほか
キネマ旬報社