マレーシア留学で「自分に負荷をかけたい」高校生たち 国内の大学進学と同程度の費用で「オールイングリッシュ」の授業を受けられるがドロップアウト組も
日本人の海外留学生の数は減少している中、留学先として昨今、注目を集めているのがマレーシアの大学だ。実際にマレーシアの大学に留学した学生はマレーシアの大学生活をどのように振り返っているか。学業のレベルはどれぐらいなのか。『中学受験 やってはいけない塾選び』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする「費用面が魅力、マレーシアへの海外留学」。【前後編の後編。前編から読む】
* * * 円安によって、海外留学は費用面でハードルが上がっている。アメリカの大学に進学をしたら、学費と生活費で年間600万円ほどはかかる。そのため、日本から海外の大学へ進学する学生は減っているが、その中で注目されているのがマレーシアへの留学だ。マレーシアは教育に力を入れており、留学生の受け入れを推進し、留学大国を目指している。そのため、マレーシアの大学が日本の高校に指定校推薦の枠を設けているのもよく目にするのだ。 費用も安くて教育の内容もいいというマレーシア留学だが、実際に体験をした日本人に話を聞き、デメリットも探っていこう。 現在、デロイトトーマツコンサルタントでビジネスアナリストとして働く林明香里さんは、オーストラリアの名門、モナッシュ大学のマレーシア校(セランゴール州スバンジャヤ)を卒業した。 「日本での快適さから離れた生活をすることに挑戦してみたかった」と話す。 コンドミニアムで友人たちとルームシェアをしたので光熱費込みで月2万5000円で住めて、食事は自炊にしたので安く暮らせた。 「マレーシアというと未開の地のイメージがありましたが、実際には高いタワーがそびえ立つ都会です。ドン・キホーテやイオンなどの日本の商業施設もあるからなんでも手に入ります」(林さん) 亜熱帯で気候も違うが、日本のように35度を超える猛暑はめったにないので過ごしやすいともいう。 そんな環境にあるマレーシアの大学は会計やITといった分野が強いが、注目したいのは観光学部だ。日本は観光大国を目指していて、観光業界を志している高校生も非常に多いが、国内には観光学部の選択肢が少ない。一方で、マレーシアには観光系の学部を持つ大学がいくつもある。 オールイングリッシュで観光に関しての実用的な内容を学べ、現地のリゾート施設やIR(統合型リゾート)施設でのインターシップが授業に組み込まれている。今どきは英語が堪能なだけでは就職で差別化ができないが、現地での経験は就職活動でアピールポイントになる。日本では学べない分野が充実しているのもマレーシア留学の魅力だろう。