フランス内閣、崩壊なら金融市場で嵐招くと首相-予算案否決の恐れも
(ブルームバーグ): フランスのバルニエ首相は、政治的立場を超えて議員らが政府予算案の否決に動き、不信任投票で自らが首相の座を追われることも「可能性は低いがあり得る」と指摘し、その場合には、フランスは金融市場の「嵐」に直面すると警告した。
バルニエ首相はTF1テレビとのインタビューで、不信任案が可決されれば、「金融市場で恐らくかなり深刻な嵐と動揺が起きる」と述べ、内閣が崩壊する場合、緊急措置が取られるとしても、年間の政府支出を賄うことはできないだろうと発言した。
フランス政府は、大企業や富裕層への増税を柱とする606億ユーロ(約9兆7400億円)の収支改善策を盛り込んだ2025年度予算案を10月に公表した。
バルニエ内閣を支える勢力は議会で過半数に届かない。膨らむ財政赤字削減に必要な歳出抑制や増税の実行は難しく、借り入れコスト上昇を招く危険がある。
26日の欧州市場では、フランス国債のリスク指標がユーロ圏債務危機以降で経験のない水準に達した。フランス10年国債のドイツ国債に対する上乗せ利回り(スプレッド)は86ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を上回り、2012年以来で最も拡大した。
シティグループのストラテジストによれば、バルニエ内閣の崩壊リスクを背景にスプレッドは100bp到達も想定される。アリアンツ・グローバル・インベスターズでマルチアセットのグローバル最高投資責任者(CIO)を務めるグレーゴル・ヒルト氏は「最終的にスプレッドがイタリア国債の水準に達することもあり得る」と予想した。
最終的な25年度予算案と社会保障予算案が提示された段階で、マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる極右政党・国民連合(RN)が不信任案支持に回るかどうかが、バルニエ首相の政治的命運を左右する。ルペン氏は、家計の購買力保護を強化する要求が満たされなければ、内閣の打倒に動く公言している。
ルペン氏が脅しを実行し、バルニエ首相は間もなく退陣を余儀なくされると思うというマクロン大統領の発言を仏紙パリジャンが報じたが、エリゼ宮(大統領府)はこれを否定した。