コピーライターが言語化に最も時間をかける工程 名コピーはその場でパッと思いつくものでもない
コピーライターが生みだす名コピーは、短い言葉なのに、なぜ人の心を一瞬でつかむことができるのでしょうか? そのヒントは、コピーを生みだす過程にあります。本稿では、世界三大広告賞の受賞歴のあるコピーライター・荒木俊哉氏の著書『こうやって頭のなかを言語化する。』から一部抜粋・再構成のうえ、荒木氏が言葉を生みだすときに大切にしている工程をご紹介します。 ■言語化力アップのために本当に必要なこと ここでは、言語化力について、世の中ではほとんど語られていない大前提をお伝えします。
■大前提:言語化力のベースは「聞く力」にある。 言語化力というと「話す力」「伝える力」「書く力」といったものに近いと思われがちですが、実は「聞く力」がもっとも必要だと私は考えています。 ですが、言語化力と聞く力は、一見、かなり離れていますよね。どのように、この2つが関係しているのでしょうか? あなたは、「聞く力」という言葉から、どんなことをイメージするでしょうか? たとえば、仕事の場面。ここ数年、どんな組織においても、相手の話を「聞く姿勢」が大切と言われています。
リーダーの立場にある人が、「若手の話をちゃんと聞こう」「傾聴のスキルを身につけよう」「もっとメンバーが積極的に発言できる機会をつくろう」などと求められるのは、私の働く会社だけではないはずです。 そういえば、スポーツの世界でも「いい監督は、聞き上手」なんて話を耳にすることがよくあります。 聞く力が求められるのは、仕事の場面だけではありません。たとえば、パートナーとの関係。「話をちゃんと聞いてくれるパートナーは、いいパートナーだ」と言われて違和感を持つ人は少ないと思います。
また、子育てをしている人であれば、「子ども本人の思いや意見を、ちゃんと聞くようにしたい」と考える人は、きっと多いはずです。 このように、聞く力という言葉から一般的にイメージされるのは、「相手」の話をちゃんと聞く、ということがほとんどです。 話を聞く相手は、同僚だったり、部下だったり、クライアントだったり、家族だったり、友人だったりと、すべて自分ではない「他人」です。 今、世の中にたくさん存在している、聞くことに関する本も、基本的には、話を聞く相手は他人前提でつくられています。