■ビジネス会食でもらった名刺をしまうタイミング 　洋食に限りません。かつてのバーでは、チークやカリンの一枚など、こだわりを持ったバーカウンターを所有しているお店も多く、タバコ以外の私物は置かないのが粋、とされていた時代もありました。現代においても、カバンはちろん、スマホや財布もテーブルに置くのは野暮かもしれません。 　プレゼントや手土産も例外ではありません。バースデープレゼントやちょっとしたお土産などは、デザートタイムにお渡しするとよいでしょう。小さいサイズでしたら少しの間だけテーブル上でも許されますが、大きなお品は膝の上に。接待時の手土産は、クロークに預けておき別れ際にお渡しするのがマナーです。 　ビジネスの会食では、お相手の名刺をテーブル上に出したままにすることも避けてください。いただいた名刺をいったん置くのは許容されるとしても、お料理が運ばれるまでにはしまいましょう。 　正しいマナーの知識がある人は、目の前のかたがマナー違反をしていたら注意したくなるかもしれません。しかし、その場の人たちの居心地を悪くしてしまうことも、重大なマナー違反です。 　私も「先生、これがマナーですよね」と逆さばしで取り分けてもらったときは、その場では肯定も否定もせず、ただ、そのかたなりのお心遣いに「ありがとうございます」とだけおえしました。あまり頭を固くせず、その場を和やかに心地よくするような気遣いが、マナーの真髄だと考えます。 　※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年10月4日号)の一部を再編集したものです。 ---------- 諏内 えみ（すない・えみ） 「マナースクール・ライビウム」「親子・お受験作法教室」代表　 VIPアテンダント業務を経てスクールを設立。上質なふるまいや会話、社交術、テーブルマナーが学べるオンライン講座『Class the SUNAI』を主宰。難関幼稚園、名門小学校合格率95％のお受験講座は「にじみ出る育ちの良さ」が身につくと話題に。映画やドラマで女優への所作指導のほか、テレビ出演多数。著書に『「育ちがいい人」だけが知っていること』（ダイヤモンド社）』など。 ----------