「超加工食品」でたばこ並みの依存性が判明、渇望や禁断症状も、「抗いがたい魅力」の罠
コントロールを取り戻すには
超加工食品への依存症を防ぐために、ギアハート氏は、明確な栄養情報の表示と、たばこのような警告表示の義務化を望んでいる。それが実現するまでは、消費者は自然でない成分をなるべく含まない食品を選ぶように努力するしかない。子ども向けの広告を止めることも重要だ。 超加工食品が人気なのは、料理をする時間がない人にとって非常に便利だからでもある。そのためギアハート氏は、超加工食品がもたらすさまざまな疾患の治療費を負担させられている保険会社が、自然食品で作った料理の宅配サービスを補助する日を夢見ている。 深刻な超加工食品依存症の人をどう治療するかについては、まだ答えが出ていない。オゼンピックなどのGLP-1受容体作動薬が有効ではないかと指摘する人もいる。こうした薬の利用者から、嗜好性の高い食品への渇望が減るという報告があるからだ。 ウィス氏らが2022年に医学誌「Frontiers in Psychiatry」に発表した予備的な研究では、グループおよび個人での週1回の教育的・心理的サポートと自然食品の摂取計画を併用する治療法の効果が示されている。 ギアハート氏は、超加工食品をめぐる問題の将来について楽観的だ。「かつての人々はたばこの害に無関心でしたが、今は違います。超加工食品の害にもそのうち気づくはずです」
文=Meryl Davids Landau/訳=三枝小夜子